文献詳細
文献概要
今月の臨床 子宮筋腫の治療―大きく広がった選択の幅 薬物療法
1.ホルモン療法
著者: 小池浩司1
所属機関: 1金沢大学大学院医学系研究科機能再生学講座分子移植学(産科婦人科学)
ページ範囲:P.57 - P.61
文献購入ページに移動はじめに
子宮筋腫は婦人科領域の腫瘍において最も頻度の高い良性腫瘍で,性成熟期女性の20~25%に認められると報告されている.そのため,子宮筋腫は日常診療においてかなりの頻度で発見され,治療を要しないもの,対症療法やホルモン療法などの保存的療法が適応されるもの,外科的治療法が優先されるものなどと治療法はさまざまで,腫瘍の数や大きさ,局在部位,症状の強さや年齢あるいは挙児希望の有無などを考慮して個別的に治療法が選択されている.子宮筋腫は良性腫瘍で,大出血などの特別のケースを除けば生命を脅かすことはなく,多くの場合は無症状である.
子宮筋腫患者の20~40%が症状を訴え,何らかの治療を求めて医療機関を受診し,その主症状は過多月経と月経困難症である.一般的には保存的対症療法として過多月経による貧血には鉄剤の投与,月経痛には鎮痛剤の投与がなされる.保存的対症療法では対処できない場合,従来は外科的治療法が選択されてきたが,最近ではホルモン療法により一時的に子宮筋腫を縮小させ,症状の改善をはかることが可能となり,術前投与として用いられたり,一時的な手術回避策あるいは年齢を考慮して手術をせずに保存的に管理するために用いられたりと,子宮筋腫治療に関するホルモン療法の選択肢も広がった.今日最も汎用されているホルモン療法としてはGnRHアゴニストの持続投与である.
そこで本稿では,子宮筋腫に対するホルモン療法についてGnRHアゴニスト(GnRHa)を中心に述べ,また今後の治療として期待されるその他の薬剤にも若干触れたい.表1には子宮筋腫の治療に用いられるホルモン剤を示した.
子宮筋腫は婦人科領域の腫瘍において最も頻度の高い良性腫瘍で,性成熟期女性の20~25%に認められると報告されている.そのため,子宮筋腫は日常診療においてかなりの頻度で発見され,治療を要しないもの,対症療法やホルモン療法などの保存的療法が適応されるもの,外科的治療法が優先されるものなどと治療法はさまざまで,腫瘍の数や大きさ,局在部位,症状の強さや年齢あるいは挙児希望の有無などを考慮して個別的に治療法が選択されている.子宮筋腫は良性腫瘍で,大出血などの特別のケースを除けば生命を脅かすことはなく,多くの場合は無症状である.
子宮筋腫患者の20~40%が症状を訴え,何らかの治療を求めて医療機関を受診し,その主症状は過多月経と月経困難症である.一般的には保存的対症療法として過多月経による貧血には鉄剤の投与,月経痛には鎮痛剤の投与がなされる.保存的対症療法では対処できない場合,従来は外科的治療法が選択されてきたが,最近ではホルモン療法により一時的に子宮筋腫を縮小させ,症状の改善をはかることが可能となり,術前投与として用いられたり,一時的な手術回避策あるいは年齢を考慮して手術をせずに保存的に管理するために用いられたりと,子宮筋腫治療に関するホルモン療法の選択肢も広がった.今日最も汎用されているホルモン療法としてはGnRHアゴニストの持続投与である.
そこで本稿では,子宮筋腫に対するホルモン療法についてGnRHアゴニスト(GnRHa)を中心に述べ,また今後の治療として期待されるその他の薬剤にも若干触れたい.表1には子宮筋腫の治療に用いられるホルモン剤を示した.
参考文献
1) Cheng KW, Nagan ES, Kang SK, et al:Transcriptional down -regulation of human gonadotropin-releasing hormone(GnRH)receptor gene by GnRH:role of protein kainase C and activating protein 1. Endocrinology 141:3611-3622, 2000
2) Adamson GD:Treatment of uterine fibroid:current findings with gonadotropin-releasing hormone agonist. Am J Obstet Gynecol 166:746-751, 1992
3) Matta WH, Stabile I, Shaw RW, et al:Doppuler assessment of uterine blood flow changes in patient with fibroid receiving the gonadotropin-releasing hormone agonist buserelin. Fertli Steril 49:1083-1085, 1988
4) Gonzalez-Barcena D, Banuelos Alvarez M, Gomez-Orta F, et al:Tteatment of uterine leiomyomas with lutenizing hormone-releasing hormone antagonist cetrorelix. Hum Reprod 12:2028-2035, 1997
5) Felberbaum RE,Germer U, Ludwig M, et al:Treatment of uterine fibroids with a slow-release formulation of the gonadotropin-releasing hormone antagonist cetrorelix. Human Reprod 13:1660-1668, 1998
6) Emons G, Grundker C, Gunthert AR, et al:GnRH antagonist in the treatment of gynecological and breast cancer. Endocr Relat Cancer 10:291-299, 2003
7) Dawood MY:Endometriosis. In Gynecologic Endocrinology(Gold JJ, Josinovich JB, ed). Plenum, New York, pp387-404, 1987
掲載誌情報