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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科62巻1号

2008年01月発行

文献概要

今月の臨床 子宮筋腫の治療―大きく広がった選択の幅 薬物療法

2.漢方薬

著者: 後山尚久12

所属機関: 1藍野学院短期大学 2藍野病院婦人科

ページ範囲:P.63 - P.67

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はじめに

 産婦人科医療はここ30年間に大きな変革を示した.なかでも生殖医療や内視鏡医療はその先頭を走る分野であろう.がん化学療法や周産期医療にも大きな進歩,変革がみられた.婦人科外科分野において,子宮筋腫はかつて子宮摘出手術か筋腫核核出手術しか治療法がなかったが,今では外科的手術(開腹によるもの,内視鏡下,腹腔鏡下で行うもの),子宮動脈塞栓術,MRガイド下集束超音波療法などの非薬物療法に加えて,女性ホルモン,GnRHアゴニストなどの薬物を組み合わせるなどの種々の治療法が実施されている.

 子宮筋腫は多彩な症状を示し,患者それぞれの重症度の違いがみられるのみならず,それぞれの病期,患者の子宮機能の温存の希望の有無なども異なるため,治療法の選択肢が多いのは,受療者の側からは歓迎すべきものである.

 漢方医学が子宮筋腫などの女性の腹部腫瘤の治療に挑戦をした歴史は古く,西洋医学よりも先に非観血的な治療の道を探っていたといえる.一般的には,現在の漢方薬はあくまでも子宮筋腫を消失,治癒させるものではないことを前提に,ADLを改善し,QOLの向上をはかることを目的として使用することができる1).漢方医学理論においては,子宮筋腫,子宮内膜症,子宮腺筋症を同源の病と解釈し,同じベクトルを有した漢方方剤で治療するのが一般的である2)

参考文献

1) 後山尚久:子宮筋腫・子宮内膜症の漢方治療.産婦人科治療83:611-619,2001
2) 後山尚久:女性診療科における主要症候・疾患の薬物療法-子宮筋腫-漢方理論による治療の実際とその位置づけ.産婦人科の実際51:1765-1770,2002
3) 細野史郎:第七十条,臨床傷寒論.pp194-197,現代出版プランニング,東京,1996
4) 安井広迥:賀川玄悦とその医術.漢方の臨床45:994-1010,1998
5) 岡田研吉:子宮筋腫の漢方治療.臨床婦人科産科35:335-340,1981
6) 堂園晴彦:子宮筋腫の漢方療法-ホルモン療法に対抗して.産婦人科治療71:669-672,1995
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8) 井上滋夫,岩崎昭宏,草西 洋:超音波計測による桂枝茯苓丸の子宮筋腫縮小効果の検討(第3報低用量ダナゾール併用療法の効果).産婦人科漢方研究のあゆみ16:104-108,1999
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10) 太田博孝,田中俊誠:月経困難症に対する桂枝茯苓丸の奏功機序-フリーラジカル系の関与.産婦人科漢方研究のあゆみ18:112-115,2001
11) 後山尚久:産婦人科における桂枝茯苓丸の応用.漢方と最新治療11:261-267, 2002
12) 坂東正造:子宮筋腫.病名漢方治療の実際.pp341-342,メディカルユーコン,京都,2002
13) 後山尚久:子宮筋腫の漢方療法-その理論と実践.産婦人科治療86:286-292,2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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