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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科62巻10号

2008年10月発行

文献概要

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編集後記

著者: 神崎秀陽

所属機関:

ページ範囲:P.1388 - P.1388

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 新臨床研修医制度の導入から4年半が経過しました.来年度には,新たな制度下で産婦人科を専攻した医師たちが専門医試験を受けます.実質的に専門研修の期間が5年から3年に短縮して専門医となるわけですが,おそらく筆記試験で評価される知識レベルという点では従来と大差はないと思われます.しかし2年の経験差があることについては,以後の処遇を考えるうえでも,十分に考慮する必要があります.専門医資格の取得は医師としての生涯研修の単なる通過点ですが,個人的な経験からも,特に外科的手技習熟に関しては初期の3年目と5年目との違いが非常に大きいことは明らかです.他方,スーパーローテイトの2年間で他領域を研修したことに一定の意義があったことも確かです.過去2年半の間に入局した新研修制度後の医師たちからの印象では,個人差はかなりあるものの,内科,外科,救急医療などの基礎知識と経験があることが,専門研修への熱意,コメディカルとの協調,対患者への姿勢などに顕れているように感じます.

 新研修制度についてはさまざまな問題点が指摘されており,確かに期間や科目の見直しは今後も必要ですが,指導体制が整っていることを前提とすれば,その根幹理念は間違っていないと思います.産婦人科にローテイトしてくる研修医の慰労や勧誘の目的で定期的に行っている食事会(飲み会)で聞いてみても,当事者からの不満の多くは指導医についてであり,研修制度自体にはおおむね肯定的で,以前の制度への回帰を望むものはいません.大学病院研修の特徴かもしれませんが,2年目になってもまだ専攻科を迷っている研修医もかなりいますので,医学・医療面での産婦人科の魅力について認識してもらうとともに,着実に待遇改善が進んでいることも強調していますが,その成果はなかなか現れてきません.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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