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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科62巻11号

2008年11月発行

文献概要

症例

スプレー式凍結療法が有効であった妊娠に合併したlarge sizeの子宮頸管ポリープの1例

著者: 佐藤賢一郎1 森下美幸1 鈴木美紀1 佐藤大介2 水内英充3 水内将人4 両坂美和4 北島義盛5 塚本健一6 藤田美悧6

所属機関: 1新日鐵室蘭総合病院産婦人科 2新日鐵室蘭総合病院小児科 3旭川みずうち産科婦人科 4札幌医科大学産婦人科 5五輪橋産科婦人科小児科病院 6新日鐵室蘭総合病院病理検査室

ページ範囲:P.1493 - P.1497

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 今回われわれは,スプレー式凍結療法により良好な経過を得た妊娠合併子宮頸管ポリープの1例を経験した.症例は34歳,1経妊・1経産で,既往歴・家族歴に特記すべきことはない.妊娠にて当科を受診したところlarge sizeの子宮頸管ポリープを認めた.経過中に出血,帯下異常の訴えがあり,大きいことと軟らかくて脆く,易出血性のため摘出処置は困難と判断し,インフォームド・コンセントのうえ細胞診,生検による悪性の検索と凍結療法を行う方針とした.1週間ごとに腟内ポピドンヨード消毒とスプレー式凍結療法を施行したところ,2回目終了後より縮小が認められ,4回目終了時には止血し,外子宮口に子宮頸管ポリープは認められなくなった.その後も再増大,出血はなく,妊娠40週0日で自然頭位分娩し,母児ともに特に問題はなかった.妊娠に合併した子宮頸管ポリープの治療法の1つとして,細胞診,生検による悪性の否定とスプレー式凍結療法が有効である可能性がある.

参考文献

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2) 浅井 哲,田中 守,吉村泰典 : 妊娠中の子宮頸管ポリープと子宮筋腫の取り扱い.産と婦74 : 1323─1325,2007
3) Robertson M, Scott P, Ellwood DA, et al : Endocervical polyp in pregnancy : gray scale and color Doppler images and essential considerations in pregnancy. Ultrasound Obstet Gynecol 26 : 583─584, 2005
4) 宮地 徹,森脇昭介,桜井幹己 : 頸管ポリープ.産婦人科病理学診断図譜.pp132─137,杏林書院,2004
5) Wright TC, Ferenczy A : Blausteins Pathology of the Female Genital Tract. 5th ed. pp242─243, Springer─Verlag, New York, 2002
6) 大谷嘉明 : 子宮頸管ポリープと早産.日産婦関東連地方部会報44 : 207,2007
7) 佐藤賢一郎,水内英充 : 腟外陰コンジローマ,創部肉芽腫に対するスプレー法による凍結療法の有用性について.日産婦誌54 : 373,2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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