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今月の臨床 新生児の蘇生と管理 新生児室での管理
5.院内感染防止策 Prevention of Nosocomial Infections in Nurseries
著者: 高橋尚人1
所属機関: 1自治医科大学総合周産期母子医療センター
ページ範囲:P.185 - P.187
文献購入ページに移動正常新生児室での保菌と感染
新生児は正常の正期産児であっても免疫能は成人と比較すれば弱く,感染症が重症化しやすいこと,また新生児は集団で管理されている場合は集団感染が発生しやすいことに常に注意することが必要である.
本邦の正常新生児室のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)保菌率は,2000年に主要NICUに対して行われた全国アンケート調査では,保菌者なしが6/18施設(33.3%),1~24%が8/18(44.4%),25%以上が3/18(16.7%)であり,正常新生児室でもMRSA保菌児は皆無ではなかった1).また,NICUを持たない病院で出生した正常新生児の生後1か月のMRSA保菌率が40%を超えたとする報告もあり2),正常新生児室でもMRSA保菌はあり得る.しかし同時に,MRSA保菌新生児のほとんどで生後28週までに保菌が消失していることも示されており2),保菌したMRSAが将来にわたり常在するわけではない.
新生児は正常の正期産児であっても免疫能は成人と比較すれば弱く,感染症が重症化しやすいこと,また新生児は集団で管理されている場合は集団感染が発生しやすいことに常に注意することが必要である.
本邦の正常新生児室のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)保菌率は,2000年に主要NICUに対して行われた全国アンケート調査では,保菌者なしが6/18施設(33.3%),1~24%が8/18(44.4%),25%以上が3/18(16.7%)であり,正常新生児室でもMRSA保菌児は皆無ではなかった1).また,NICUを持たない病院で出生した正常新生児の生後1か月のMRSA保菌率が40%を超えたとする報告もあり2),正常新生児室でもMRSA保菌はあり得る.しかし同時に,MRSA保菌新生児のほとんどで生後28週までに保菌が消失していることも示されており2),保菌したMRSAが将来にわたり常在するわけではない.
参考文献
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2) 大田敏之,唐川武典,上田一博:メチシリン耐性黄色ブドウ球菌鼻前庭保菌新生児の保菌状態の疫学的検討.日本小児科学会雑誌98:1990-1994,1994
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