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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科62巻3号

2008年03月発行

性教育 医療界と教育界のスクラムを! 第30回日本産婦人科医会性教育指導セミナー全国大会 シンポジウムより抜粋

思春期の性交(性行為)―主体的コントロールの性教育

著者: 武田敏1

所属機関: 1千葉大学教育学部

ページ範囲:P.331 - P.335

文献概要

中高生は「性交をしない」主体的コントロール

 思春期の性行為体験率が急増,低年齢化し,教育問題だけでなく社会問題化している.

 Comprehensive sexuality educationとは包括的性教育と訳され,「中高生は性行為はしないことが望ましい.する場合はピルやコンドームを正しく使って妊娠や性感染症を防ぐ」という意味に解されている.しかし,これに対し教育界の保守派からの厳しい批判がある.「結果的に後者をとることになりやすく,しかも妊娠や性感染症のリスクにさらされている.避妊教育をしても,ときに忘れたり,避妊に失敗したりして中絶手術となるケースが少なくない」からである.コンドームを使っても感染する性器ヘルペスなどの性感染症もある.ピルやコンドームの効能は認められているが,完全ではないので「中高生は性行為(性交)はしない」と明言する教育がよいと主張する教師もいる.「性行動選択より性行為抑止が重要である」という.しかし過去の禁欲教育や脅し性教育に逆行することは,健全な判断力を育てる教育に反する.他者から強制されて我慢するのでは,教育的とはいえないと考えられる.筆者は初交年齢を遅らせる「主体的性行為コントロール教育」を推進してきた.その大略を以下に紹介する.

参考文献

1)Life Skill Education in Schools. WHO, 1994
2)木村好秀:都立高校における性教育の組織的とりくみ.産婦人科の世界59:19,2007
3)松本清一:思春期セミナー講演録,2006
4)武田 敏:思春期教育法と認知.思春期学23:284,2005
5)武田 敏:認知的性教育の展開.産婦人科の世界 57:55,2005
6)武田 敏:性教育の現状論議と課題・展望.産婦人科治療91:482,2005
7)武田 敏:ソシアルマーケティングから学ぶ性教育とライフスキル.産婦人科の世界59:171,2007
8)武田 敏:保健教育としての性教育の提言.性科学学会誌25:39,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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