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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科62巻4号

2008年04月発行

文献概要

今月の臨床 産婦人科臨床の難題を解く─私はこうしている I 周産期管理 【分娩・産褥管理】

6.産褥1か月の胎盤ポリープの取り扱いは?

著者: 小野恭子1 菊池昭彦1 松原直樹2

所属機関: 1長野県立こども病院総合周産期母子医療センター産科 2飯田市立病院産婦人科

ページ範囲:P.434 - P.437

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1 胎盤ポリープとは

 胎盤ポリープは,分娩後または流産後に遺残胎盤が変性,器質化によりポリープを形成したもので,病理組織学的所見はさまざまであるが,変性や出血,壊死を伴う絨毛組織の存在,フィブリン沈着による器質化,絨毛の筋層浸潤,炎症細胞の浸潤などが特徴である1).臨床的には,産褥または流産後約1か月ごろ(数週~数か月の間)に不正性器出血を繰り返し,ときに大量の性器出血を起こすことも多い1).成因として,その基礎には癒着胎盤の存在があると考えられており,胎盤用手剥離,人工妊娠中絶・流産手術などの既往,帝王切開術の既往などはリスクファクターである2~5).発生頻度は低いものの4, 5),胎盤ポリープが疑われる場合に,むやみに除去しようとすると大出血を起こす危険性があるため,取り扱いには慎重を要する疾患である.

2 診 断

 産後の大出血にて気づかれることも多いが,胎盤遺残,粘膜下筋腫,子宮内膜ポリープなどのほかの子宮内腔病変との鑑別には,超音波検査,カラードプラ,MRIなどの画像所見が不可欠である5)

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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