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連載 教訓的症例から学ぶ産婦人科診療のピットフォール・32
若年女性における卵管留血腫,茎捻転の1例
著者: 小倉寛則1 前田知香1 竹内はるか1 松原直樹1 山崎輝行1
所属機関: 1飯田市立病院産婦人科
ページ範囲:P.757 - P.759
文献購入ページに移動患 者 : 15歳,0経妊・0経産.身長161 cm,体重75 kg
既往歴 : 8歳時に虫垂切除術を施行されている.
月経歴 : 初経14歳,不順,月経血量は多く,持続日数は10日間.
現病歴 : 数日前より下腹部痛を認めていた.月経28日目であったが,右腰部から下腹部の痛みで虫垂炎術創部が最も強く,増悪・寛解を繰り返していた.排便はやや少なめであったが,下痢ではなく,嘔気や嘔吐も伴わなかった.ブスコパン錠(R)を1錠内服したが軽快しないため,当院救急外来を受診した.初診時,体温37.2℃で血圧や脈拍は正常であった.下腹部を中心に軽度の圧痛を認めたが,反跳圧痛や筋性防御は認めなかった.腸蠕動音も正常であった.血液検査所見,腹部単純X線写真でも明らかな異常を指摘されなかったため,整腸剤を処方されいったん帰宅した.
しかし痛みは徐々に増強し,3日後の朝より起立困難なほどの疼痛を認めたため,当院小児科を受診した.経腹超音波断層法を施行され,腹腔内に5.6×5.5×4.7 cmで内部エコーが均一な低エコー輝度領域を認めたため(図1),卵巣嚢腫,茎捻転疑いの診断で当科に紹介され受診となった.性交歴がないため内診,腟鏡診は施行せず,理学診で下腹部に著明な圧痛,反跳圧痛を認め,経腹超音波断層法でも同様の所見でもあったため,卵巣嚢腫茎捻転疑いの診断で入院管理となった.
入院時現症 : 意識清明,体温36.9℃.下腹部の圧痛が著明であった.
検査所見 : WBC 13,500/μl,Hb 14.1 g/dl,Ht 43.0%,Plt 28.8万/μl,PT 102%,APTT 30.7秒,CRP 0.1 mg/dlであった.
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