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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科62巻5号

2008年05月発行

文献概要

原著

子宮筋腫分娩35症例の臨床的検討

著者: 朝野晃1 太田聡1 松浦類1 早坂篤1 明城光三1 和田裕一1

所属機関: 1独立行政法人国立病院機構仙台医療センター産婦人科

ページ範囲:P.769 - P.772

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 筋腫分娩35例を検討した.頻度は筋腫全体の1.9%で,平均年齢は44.8±7.4歳であった.主訴は不正性器出血,過多月経が最も多く,過多月経や貧血を1年以上前から指摘されていたのは13例(37.1%)であった.血色素値は平均で9.1±3.3 g/dlであった.筋腫分娩の発生部位は,子宮体部下部から発生したものが最も多く,外陰にまで脱出した例を1例(2.9%)認めた.筋腫分娩の大きさは2~12 cmまであり,5 cm未満が21例(60.0%)であった.

 治療方法は,35症例中,子宮摘出が24例,捻除が6例,分娩筋腫の茎部切断が1例,子宮鏡下の切除が4例あり,保存的な手術症例は11例(31.4%)であった.筋腫分娩の治療は可能であれば保存手術が望ましいが,子宮全摘をせざるを得ない場合があり,妊孕性温存の必要性,年齢なども考慮し治療することが必要であると思われた.

参考文献

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3) 高田真一,黒牧謙一,清水 謙 : 当院における筋腫分娩の臨床的検討.日産婦埼玉地方部会会誌19 : 230─234,1989
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7) 安田 孝,永松 健,土屋富士子,他 : 子宮摘出前に子宮動脈塞栓阻血術を併用した巨大子宮筋腫分娩の一例.日産婦東京地方部会会誌51 : 81─85, 2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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