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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科62巻7号

2008年07月発行

連載 教訓的症例から学ぶ産婦人科診療のピットフォール・34

グリセリン浣腸により腸管穿孔をきたし敗血症,DICとなったが,母児ともに救命できた症例

著者: 徳毛敬三1 妹尾絵美1 山本暖1 早瀬良二1

所属機関: 1独立行政法人国立病院機構福山医療センター産婦人科

ページ範囲:P.1005 - P.1007

文献概要

症 例

 患 者 : 30歳,初産婦

 主 訴 : 腹痛

 既往歴 : 特記すべきことなし.

 現病歴 : 妊娠25週6日より,切迫早産にて前医に入院していた.搬送となる前日,便秘による排便困難にてグリセリン浣腸を行い,切迫症状は軽減した.翌日も同様の症状を呈したため浣腸を行ったところ腹痛が増強し,妊娠30週4日に切迫早産,急性腹症にて当科に緊急母体搬送となった.

 入院時現症 : 身長166 cm,体重53 kg,血圧110/52 mmHg,脈拍108/分,体温37.2℃,心音および呼吸音は正常であった.腹部は軟で,圧痛,筋性防御,反動痛を認めなかったが,NST(non─stress test)にて頻回の子宮収縮を認めた.内診所見では,子宮口閉鎖,出血は認めなかった.

 超音波検査では,胎児の推定体重は1,900 g,胎児および胎盤に異常は認めなかった.

 検査所見 : 検査所見は,WBC 13,400/μl,,RBC 452×104/μl,Hb 13.6 g/dl,Ht 41.1%,PLT 20.3×104/μl,ALT 17 IU/l,AST 21 IU/l,LDH 378 U/l,ALP 363 U/l,γ─GTP 6 U/l,T─Bil 0.7 mg/dl,TP 5.9 g/dl,AMY 60 U/l,TC 178 mg/dl,BUN 5 mg/dl,Cre 0.3 mg/dl,Na 132 mEq/l,K 4.0 mEq/l,Cl 101 mEq/l,CRP 3.5 mg/dl,PT 11.6秒,APTT 29.2秒,AT─3 95 mg/dl,FDP 8.3 μg/ml,D─ダイマー 6.7 μg/ml,フィブリノーゲン421 mg/dlであった.

参考文献

1) 新田律子,三木明徳,林 正敏,他 : 妊娠初期,強固な便秘による閉塞性イレウスのため開腹手術を行った1症例─妊娠中の便秘の対策と予防.日産婦関東連会報38 : 345─351,2001
2) 島田能史,松尾仁之,小林 孝 : グリセリン浣腸により直腸穿孔と溶血をきたした一症例.新潟医学会雑誌118 : 17─20,2004
3) 安部達也,岩重弘文,佐藤 誠,他 : グリセリン浣腸による外傷性直腸穿孔の1例.臨床と研究82 : 494─496,2005
4) 月岡雄治,尾山勝信,小矢崎直博,他 : グリセリン浣腸によると考えられた直腸穿孔に起因する骨盤直腸窩膿瘍の1例.日本大腸肛門病会誌55 : 184─188,2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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