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今月の臨床 エキスパートに学ぶ―漢方療法実践講座 【漢方医学の基礎知識】
1.漢方医療とは何か―〈証〉を理解する
著者: 笠原裕司1 寺澤捷年2
所属機関: 1千葉大学大学院医学研究院・先端和漢診療学 2千葉大学大学院医学研究院・和漢診療学
ページ範囲:P.1035 - P.1039
文献購入ページに移動有史以来,病気は誰にでも起こりうる大事件であり,洋の東西を問わず,医療は最大級の社会的関心事であった.(現在のような自然科学の知識をまだ手に入れてなかった)古代人にとって,幅広く行われ,またある程度の有効性を持った治療法は薬草を用いた薬物療法であろう.
しかし,症状と薬草を1対1で対応させた単純な治療法では,十分な効果を上げることはできない.そのため,東洋では次第に複雑な薬物(複数の薬草を組み合わせた処方)の創成とその使用方法が研究されていった.病態を認識し,病態に合致した処方を投与したいという医師の五感を通して患者から得られた判断材料を組み合わせることで,病態認識を深めていき,やがて高度な治療体系が構築されるに至った.
ここでは,漢方医学の根幹をなしている〈証〉という考え方を紹介し,現代医療における漢方医学の意義を考えてみることにする.
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