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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科62巻8号

2008年08月発行

文献概要

今月の臨床 エキスパートに学ぶ―漢方療法実践講座 【処方の実際】

2.男性不妊

著者: 布施秀樹1 渡部明彦1 小宮顕1

所属機関: 1富山大学大学院医学薬学研究部腎泌尿器科学

ページ範囲:P.1067 - P.1071

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はじめに

 不妊の半数は男性側に原因を認める.男性不妊の病因は,精子形成障害,精路通過障害,副性器障害ならびに性機能障害に分類される.精子形成障害が男性不妊の90%と大部分を占め,そのうち原因不明の特発性のものが過半数を占める.精索静脈瘤が30%に認められる.低ゴナドトロピン性性線不全症,停留精巣,クラインフェルター症候群なども,頻度は低いが精子形成障害をきたす.精路通過障害は数%であるが,外科的治療が奏効する点が特記される.

 原因疾患の診断のために,問診では小児期の鼠径ヘルニア手術歴,流行性耳下腺炎の既往,潰瘍性大腸炎治療薬や抗悪性腫瘍剤などの薬歴を聴取する.精索静脈瘤の有無,精路の異常などを慎重に診察し,経直腸的超音波断層法により前立腺などの副性器の情報を得る.一般精液検査,内分泌検査,染色体分析などが行われ,精子機能の評価も時に必要となる.精液所見で精子濃度20×106/ml未満ないし,精子運動率50%未満の場合,通常治療の対象となる.

参考文献

1) 布施秀樹,渡部明彦 : 1.不妊因子の種類と診断D─7.特発性男性不妊症.生殖医療ガイドライン2007(日本生殖医学会編).pp98─100,金原出版,東京,2007
2) 風間泰蔵,高峰利充,水野一郎,他 : 男性不妊症における実虚証判定と補中益気湯の効果について.日不妊会誌41 : 151─158,1996
3) 井上 剛,河田 淳,林 英学,他 : 補中益気湯の頓服投与による精子機能への影響.日本受精着床学会誌14 : 173─176,1997
4) 山中幹基,北村雅哉,岸川英史,他 : 運動精子における補中益気湯の直接的効果.日泌尿会誌89 : 641─646,1998
5) Nakayama T, Goto Y, Natsuyama S : Accelerating effects of kampo medicines on protein synthesis in cultured hamster epididymal cells. Jpn J Fertil Steril 39 : 278─282, 1994
6) Akashi T, Watanabe A, Morii A, et al : Effects of the herbal medicine hochuekkito on semen parameters and seminal plasma cytokine levels(TNF─α, IL─6, RANTES)in idiopathic male infertility. J Trad Med 25 : 6─9, 2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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