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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科62巻8号

2008年08月発行

文献概要

今月の臨床 エキスパートに学ぶ―漢方療法実践講座 【処方の実際】

5.子宮筋腫の漢方治療―切らない筋腫治療における漢方の役割

著者: 井上滋夫123

所属機関: 1白眉会切らない筋腫治療センター 2白眉会佐野伊川谷病院婦人科 3白眉会画像診断クリニック

ページ範囲:P.1081 - P.1085

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はじめに

 子宮筋腫は,閉経後退縮する良性腫瘍なので,手術の絶対適応例は少ない.にもかかわらず,「肉腫の可能性も否定できないので,超手拳大で手術適応,40歳以上では子宮全摘」と定型的な治療がなされてきた.

 近年,MRIにより肉腫の可能性がある非典型的筋腫の診断がほぼ可能となり,内視鏡手術の進歩,子宮動脈塞栓療法(UAE),集束超音波治療(FUS)など,新たな治療手段も登場してきた.このような変化のもとに,従来の定型的な手術適応は意味を失い,「切りたくない」という患者の意思を無視することはできなくなってきた.

 筆者は,FUSを日本で最初に導入した医誠会病院に,UAE・内視鏡手術・腟式手術のすべてを実施できる専門ユニットを開設したが,2006年より白眉会画像診断クリニックに「切らない筋腫治療センター」を開設し,MRI診断・漢方・内視鏡手術を柱とした「保険診療による非開腹筋腫治療」を追及している.

 本稿では,子宮筋腫治療のすべての選択肢を実施してきた筆者が,「切らない筋腫治療」において,漢方をどのように位置づけ,活用しているか紹介する.

参考文献

1) 井上滋夫 : 子宮筋腫に対する集束超音波療法 現状と今後の展望.日産婦誌 58 : 9, 2006
2) 井上滋夫,岡田篤哉,磯橋佳也子,他 : 医誠会病院における低侵襲子宮筋腫治療.産婦の進歩58 : 198─201,2006
3) 漢方治療におけるエビデンスレポート 臨床エビデンス集.日本東洋医学会雑誌56 : 50─51,2005
4) 井上滋夫,中田 恵,片岡優子,他 : 超音波計測による桂枝茯苓丸の子宮筋腫縮小効果の検討.産婦人科漢方研究のあゆみ14 : 59─62,1997
5) 井上滋夫,桑原仁美,加藤淑子,他 : 超音波計測による桂枝茯苓丸の子宮筋腫縮小効果の検討(第2報GnRH agonist投与後維持療法の可能性).産婦人科漢方研究のあゆみ15 : 57─62,1998
6) 井上滋夫,上野有生,岩崎昭宏,他 : 超音波計測による桂枝茯苓丸の子宮筋腫縮小効果の検討(第3報低用量ダナゾール併用療法の効果).産婦人科漢方研究のあゆみ16 : 104─108,1999
7) 井上滋夫 : 子宮筋腫に対する漢方治療─子宮筋腫総合治療における漢方の役割.産婦人科治療92 : 721─723,2006
8) 勝亦芳裕,島津 宏,高松利明 : ツムラ桂枝茯苓丸(TJ─25)のラットを用いた経口投与による生殖・発生毒性試験.薬理と治療25 : 1565─1579,1997
9) 井上滋夫,上野有生,草西 洋,他 : 五苓散,桂枝茯苓丸によりATIII低下の改善がみられたIUGR合併純粋型重症妊娠中毒症の1例.日本妊娠中毒症学会雑誌7 : 121─122,1999
10) 井上滋夫 : 妊娠中毒症の漢方療法.産婦人科治療81 : 435─438,2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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