文献詳細
今月の臨床 産科出血―診断・治療のポイント
子宮外妊娠
文献概要
はじめに
従来,子宮外妊娠の頻度は全妊娠の0.5~1%とされており,このうち98%は卵管妊娠が占めていた.卵管妊娠のなかでも膨大部,峡部,卵管采の順で多く,間質部妊娠は全卵管妊娠の1.9%前後であった.しかし,IVF─ETなどの生殖補助医療の普及やクラミジアなどの性行為感染症の広がりにより子宮外妊娠の頻度が近年増加傾向にある.図1 1)に生殖補助医療による変化を示した.卵巣妊娠,頸管妊娠などが増加し卵管妊娠全体の率はやや低下しているが,間質部妊娠は1.9%から7.3%へと増加を示している.
間質部妊娠の特徴として,卵管への着床部が子宮筋層に保護されているため妊娠初期は症状が現れにくく,妊娠週数の進んだ8週から16週になって腹痛として発症する場合が多い.なかにはさらに無症状で妊娠継続するの場合もあり,診断を遅らせる原因の1つである.破裂すると子宮筋層や子宮血管から直接多量に出血し,止血困難である.このため破裂による急激なショック症状で初めて診断される場合もあり,子宮温存できない例も多く妊婦死亡の症例も存在する.このような状態を避けるためにも,破裂前の早期発見と治療が重要である.
従来,子宮外妊娠の頻度は全妊娠の0.5~1%とされており,このうち98%は卵管妊娠が占めていた.卵管妊娠のなかでも膨大部,峡部,卵管采の順で多く,間質部妊娠は全卵管妊娠の1.9%前後であった.しかし,IVF─ETなどの生殖補助医療の普及やクラミジアなどの性行為感染症の広がりにより子宮外妊娠の頻度が近年増加傾向にある.図1 1)に生殖補助医療による変化を示した.卵巣妊娠,頸管妊娠などが増加し卵管妊娠全体の率はやや低下しているが,間質部妊娠は1.9%から7.3%へと増加を示している.
間質部妊娠の特徴として,卵管への着床部が子宮筋層に保護されているため妊娠初期は症状が現れにくく,妊娠週数の進んだ8週から16週になって腹痛として発症する場合が多い.なかにはさらに無症状で妊娠継続するの場合もあり,診断を遅らせる原因の1つである.破裂すると子宮筋層や子宮血管から直接多量に出血し,止血困難である.このため破裂による急激なショック症状で初めて診断される場合もあり,子宮温存できない例も多く妊婦死亡の症例も存在する.このような状態を避けるためにも,破裂前の早期発見と治療が重要である.
参考文献
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