臨床婦人科産科63巻1号

2009年01月発行

今月の臨床 産科出血―診断・治療のポイント 子宮外妊娠

4.腹腔妊娠

著者： 野口靖之¹ 若槻明彦¹

所属機関： ¹愛知医科大学産婦人科学教室

ページ範囲：P.35 - P.37

はじめに

　子宮外妊娠は，子宮腔以外の場所に受精卵が着床し生育した状態と定義されているが，受精卵の着床部位により卵管妊娠，卵巣妊娠，腹膜妊娠に分類される．近年，低単位hCG測定法や経腟超音波断層法の普及により子宮外妊娠の早期診断が可能になった．腹腔妊娠は，診断がきわめて困難なため子宮内妊娠と誤認され妊娠管理されることもあったが，腹腔鏡手技の普及により妊娠初期に腹腔鏡検査ではじめて診断されるケースが増加してきている^1）．卵管妊娠であれば腹腔鏡下における妊娠部位の摘出が可能であるが，腹膜妊娠ではまずは腹腔鏡下での診断が重要である．

参考文献

1） 藤下　晃 : 子宮外妊娠に対する腹腔鏡下手術．産婦治療91 : 290─293，2005

2） 矢野樹理 : 腹腔妊娠．臨婦産55 : 1008─1010，2001

3） 三和紀子，小堀宏之，山本　勉 : 後腹膜血腫をきたした腹腔妊娠の一症例．産婦の実際54 : 2347─2350, 2005

4） Williams Obstetrics, 20th ed. pp607─631, Appleton & Lange, Stamford, 1997

5） 新女性医学大系．23．異常妊娠 C．子宮外妊娠．pp34─46，1998

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7） Lockhat F, Corr’ P, Ramphal S : The value of magnetic resonance imagingin the diagnosis and management of extra─uterine abdominal pregnancy. Clinical Radiology 61 : 264─269, 2006

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9） 鈴木りか，菅原　登，鈴木博志，他 : 腹腔鏡下に治療した腹腔妊娠の2症例．日産婦内視鏡学会20 : 70─73，2004

10） 田中加奈子，山本善光，田中幹二，他 : 腹腔妊娠．産婦の実際56 : 153─158，2007

11） 齋藤正博，石原　理，林　直樹，他 : 顕微受精・胚移植後に腹腔妊娠となった1例．産と婦68 : 667─670，2001