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今月の臨床 妊娠高血圧症候群と関連疾患 【関連疾患の病態と管理】
3.HELLP症候群
著者: 水上尚典1 山田俊1 森川守1
所属機関: 1北海道大学大学院医学研究科産科生殖医学分野
ページ範囲:P.1284 - P.1287
文献購入ページに移動HELLP症候群の由来は1982年のWeinstein報告1)に始まる.Weinsteinは過去2.5年間に経験した溶血,肝機能異常,血小板減少症の三者を合併した29症例をHELLP症候群として報告した1).HELLP症候群のHELLPは溶血を意味するHemolysisのH,肝由来酵素上昇を意味するElevated Liver enzymesのEとLを,血小板減少を意味するLow PlateletのLとPを取ったものである.Weinsteinはこの報告のなかで,母児予後改善のために急速遂娩が必要であること.HELLP症候群は妊娠中期以降起こる可能性があること,妊娠高血圧症候群患者に起こるがしばしば重症妊娠高血圧症候群の症状(高度高血圧)を欠くこと,HELLP症候群の存在を知らないと肝炎や胆石の精査につながり,治療(妊娠継続の中断)開始が遅れること,などを主張した.また,この29症例中には3例の双胎妊婦が含まれていた.したがって,HELLP症候群という病名は血液検査結果をベースにした診断名である.妊娠高血圧症候群患者に起こることを報告したが,その後,妊娠高血圧症候群がない患者にも起こることが明らかとなった.本稿ではHELLP症候群と妊娠高血圧症候群との関連について主に記述する.
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