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今月の臨床 妊娠高血圧症候群と関連疾患 【関連疾患の病態と管理】
7.深部静脈血栓症と肺塞栓症
著者: 小林隆夫1
所属機関: 1県西部浜松医療センター
ページ範囲:P.1308 - P.1313
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静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism:VTE)はこれまでわが国では比較的稀であるとされていたが,生活習慣の欧米化などに伴い近年急速に増加している1~3).血栓症で臨床的に問題となるのは,深部静脈血栓症(deep vein thrombosis:DVT)とそれに起因する肺血栓塞栓症(pulmonary thromboembolism:PTE)である.PTEはDVTの一部に発症する疾患であるが,一度発症するとその症状は重篤であり致命的となるので,急速な対処が必要となる.妊娠中は以下の理由で,VTEが生じやすくなっている.すなわち,1)血液凝固能亢進,線溶能低下,血小板活性化,プロテインS活性低下,2)女性ホルモンの静脈平滑筋弛緩作用,3)増大した妊娠子宮による腸骨静脈・下大静脈の圧迫,4)帝王切開などの手術操作による総腸骨静脈領域の血管(特に内皮)障害および術後の臥床による血液うっ滞,などである.
静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism:VTE)はこれまでわが国では比較的稀であるとされていたが,生活習慣の欧米化などに伴い近年急速に増加している1~3).血栓症で臨床的に問題となるのは,深部静脈血栓症(deep vein thrombosis:DVT)とそれに起因する肺血栓塞栓症(pulmonary thromboembolism:PTE)である.PTEはDVTの一部に発症する疾患であるが,一度発症するとその症状は重篤であり致命的となるので,急速な対処が必要となる.妊娠中は以下の理由で,VTEが生じやすくなっている.すなわち,1)血液凝固能亢進,線溶能低下,血小板活性化,プロテインS活性低下,2)女性ホルモンの静脈平滑筋弛緩作用,3)増大した妊娠子宮による腸骨静脈・下大静脈の圧迫,4)帝王切開などの手術操作による総腸骨静脈領域の血管(特に内皮)障害および術後の臥床による血液うっ滞,などである.
参考文献
1) 小林隆夫:深部静脈血栓症と肺血栓塞栓症(静脈血栓塞栓症).周産期の出血と血栓症(小林隆夫,水上尚典,白幡 聡,編).pp276─304,金原出版,東京,2004
2) 小林隆夫:III.肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症の予防対策.4.産婦人科領域.静脈血栓塞栓症ガイドブック(小林隆夫,編).pp117─132,中外医学社,東京,2006
3) 小林隆夫:産婦人科領域における静脈血栓塞栓症予防の実践.日産婦新生児血会誌16:14─22,2007
4) 小林隆夫,中林正雄,石川睦男,他:産婦人科領域における深部静脈血栓症/肺血栓塞栓症─1991年から2000年までの調査成績.日産婦新生児血会誌14:1─24,2005
5) 小林隆夫,中林正雄,石川睦男,他:産婦人科血栓症調査結果2001─2005.日産婦新生児血会誌18:S3─S4,2008
6) Dekker GA, de Varies JI, Doelitzsch PM, et al:Underlying disorders associated with severe early─onset preeclampsia. Am J Obstet Gynecol 173:1042─1048, 1995
7) 小林隆夫:妊娠高血圧症候群と凝固線溶異常.産婦治療94:1092─1098,2007
8) 肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)予防ガイドライン作成委員会:肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)予防ガイドライン.pp1─96,メディカルフロントインターナショナルリミテッド,東京,2004
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