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今月の臨床 生殖医療のトピックス
加齢による妊孕能低下の検査法と対策
著者: 久保春海1 臼井彰2
所属機関: 1NPO法人日本不妊予防協会 2臼井医院リプロダクションセンター
ページ範囲:P.1365 - P.1371
文献購入ページに移動女性の生殖可能期間は通常10代後半から45歳位までの約30年間と考えられている.しかし,生物学的にみて加齢とともに生殖能力が徐々に衰えていくことは明らかであり,妊娠の確率が低下するのは加齢に基づく生理的変化である.この生理的変化は20代後半ごろから始まるということをほとんどの女性は認知していない.卵母細胞は加齢とともに着実に減少するばかりでなく,質の問題として染色体異常(異数体)の頻度が増加し,その結果,流産率が上昇する.女性の卵巣予備能は20歳代前半がピークであり,20代後半から30代前半にかけて徐々に生殖能力は衰え始め,30歳代後半で急速に低下し始める.Menkenらによれば,加齢に伴う生涯不妊率では,20歳代では9%以下であるが,30歳前半で15%,30歳代後半で30%に妊孕力に問題が起きてくるし,40歳以降では64%が自然妊娠の望みがなくなるとされている(図1).これは生殖補助医療(ART)でも同様であり,不妊治療成績を左右する最も重要な因子が女性の年齢であることは明らかである.しかし,卵巣年齢〈卵巣予備能(ovarian reserve : OR)〉の低下速度は個人差があり,個々の女性の卵巣年齢を正確に判定する基準は確立されていないが,最近,ORを推測することが可能になってきた.また加齢不妊婦人に対するARTを含めた不妊治療の予後も推定することができる.加齢に伴う流産率の増加は,妊娠しても挙児が得られないという不妊症よりも悲惨な結果になる.
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