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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科63巻11号

2009年11月発行

文献概要

今月の臨床 生殖医療のトピックス

配偶子提供の現状

著者: 石原理1 岡垣竜吾1 梶原健1 出口顯2

所属機関: 1埼玉医科大学産婦人科 2島根大学法文学部文化人類学

ページ範囲:P.1415 - P.1421

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はじめに

 第三者に由来する配偶子を利用する不妊治療には,提供された精子を用いる治療と提供された卵子を用いる治療がある.これらのうち,提供精子を用いる治療については,非配偶者間人工授精(AID,DI)として,少なくとも1940年代から世界の各地で行われていた実績がある.一方,提供卵子を用いる治療は,1978年にルイーズ・ブラウンが体外受精の結果として出生した後,早くも1985年に臨床応用された.

 本稿では,海外における提供配偶子を用いた治療の現状を報告するとともに,今後,日本において提供配偶子を用いる生殖医療(ART)を行う場合に生ずる問題点と,必要とする対応について述べる.なお,提供配偶子を用いるARTの歴史的な変遷と諸外国・地域における個別的な情報については,筆者らが1999年から現在まで継続している北欧および英国を対象とした地域調査研究に基づいてこれまで報告した,ほかの関連論文1~8)を,併せてご参照いただければ幸いである.

参考文献

1) 石原 理,出口 顯 : 配偶子提供およびIVFサロゲートに関する英国とスウェーデンの事情.産と婦69 : 237─242,2002
2) 出口 顯 : ノルディック諸国の生殖医療技術への対応におけるナショナルとグローバル.人倫研プロジェクトNews Letter No2 : 10─20,2003
3) 石原 理,出口 顯 : 提供配偶子を用いる生殖医療の北欧における事情.産と婦71 : 938─944,2004
4) 石原 理,出口 顯 : 生殖医療をめぐる最近の話題─第三者配偶子を用いる治療の法的規制について.産婦治療90 : 1─6,2005
5) 石原 理,岡垣竜吾,梶原 健 : 海外における卵子提供プログラムとその問題点.産と婦72 : 1251─1258,2005
6) 石原 理,出口 顯 : ARTの現状─わが国と世界の動向.臨婦産60 : 10─15,2006
7) 岡垣竜吾,石原 理,出口 顯 : 卵子提供と現況とその倫理的諸問題.J Mamm Ova Res 24 : 142─152,2007
8) 石原 理,梶原 健,出口 顯 : 卵子提供,代理懐胎(IVFサロガシー)の実態と展望.臨婦産61 : 1496─1501,2007
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18) 厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課 : 精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療制度の整備に関する報告書【厚生科学審議会生殖補助医療部会】平成15年4月http://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/04/s0428-5.html
19) 読売新聞2007年7月16日
20) 精子・卵子の提供による非配偶者間体外受精に関するJISARTガイドライン http://www.jisart.jp/taigai2.html
21) 日本生殖医学会倫理委員会報告「第三者配偶子を用いる生殖医療についての提言」 http://www.jsrm.or.jp/
22) Chambers GM, Sullivan EA, Ishihara O, et al : The economic impact of assisted reproductive technology : a review of selected developed countries. Fertil Steril 91 : 2281─2294, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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