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今月の臨床 QOLを考慮した婦人科がん治療 【機能温存・副作用軽減】
2.広汎子宮全摘術における神経温存術式―下腹神経をメルクマールとした広汎子宮全摘術
著者: 高倉賢二1 樋口壽宏1 小西郁生2 藤井信吾3
所属機関: 1滋賀県立成人病センター婦人科 2京都大学医学部婦人科学産科学教室 3国立病院機構京都医療センター
ページ範囲:P.1533 - P.1539
文献購入ページに移動広汎子宮全摘術は岡林秀一により確立され(岡林術式),その基本理念は子宮頸癌の浸潤様式を考慮し,子宮を支持している靱帯をできるだけ遠位部で切断して子宮を摘出することにある1).そのためには,前部(膀胱子宮靱帯の前層と後層),中部(基靱帯),後部(仙骨子宮靱帯と直腸腟靱帯)の3つの子宮支持靱帯を正確に分離する必要がある.基靱帯は,直腸側腔と膀胱側腔を開放することで明瞭となり,安全に処理することができる.膀胱子宮靱帯前層を剥離・切断することで膀胱と尿管を子宮および腟管から分離させ,さらに膀胱子宮靱帯後層を切断すると,膀胱は完全に腟管から分離され,腟管を切断したいと思う位置まで剥離・切断することができる.また,リンパ節を系統的に郭清することにより,転移した病巣も含めて広範囲に病巣を切除することがこの術式の基本的な考え方である.今日まで,その基本は何ら変わっていないが,術中術後の合併症を軽減するために種々の工夫がなされている.そのキーワードは出血回避と神経温存であり,本稿では,神経温存について主に述べる.
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