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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科63巻12号

2009年12月発行

文献概要

今月の臨床 QOLを考慮した婦人科がん治療 【機能温存・副作用軽減】

2.広汎子宮全摘術における神経温存術式―下腹神経をメルクマールとした広汎子宮全摘術

著者: 高倉賢二1 樋口壽宏1 小西郁生2 藤井信吾3

所属機関: 1滋賀県立成人病センター婦人科 2京都大学医学部婦人科学産科学教室 3国立病院機構京都医療センター

ページ範囲:P.1533 - P.1539

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はじめに

 広汎子宮全摘術は岡林秀一により確立され(岡林術式),その基本理念は子宮頸癌の浸潤様式を考慮し,子宮を支持している靱帯をできるだけ遠位部で切断して子宮を摘出することにある1).そのためには,前部(膀胱子宮靱帯の前層と後層),中部(基靱帯),後部(仙骨子宮靱帯と直腸腟靱帯)の3つの子宮支持靱帯を正確に分離する必要がある.基靱帯は,直腸側腔と膀胱側腔を開放することで明瞭となり,安全に処理することができる.膀胱子宮靱帯前層を剥離・切断することで膀胱と尿管を子宮および腟管から分離させ,さらに膀胱子宮靱帯後層を切断すると,膀胱は完全に腟管から分離され,腟管を切断したいと思う位置まで剥離・切断することができる.また,リンパ節を系統的に郭清することにより,転移した病巣も含めて広範囲に病巣を切除することがこの術式の基本的な考え方である.今日まで,その基本は何ら変わっていないが,術中術後の合併症を軽減するために種々の工夫がなされている.そのキーワードは出血回避と神経温存であり,本稿では,神経温存について主に述べる.

参考文献

1) Okabayashi H : Radical abdominal hysterectomy for caner of the cervix uteri, modification of the Takayama operation. Surg Gynecol Obstet 33 : 335─341, 1921
2) Fujii S, Takakura K, Matsumura N, et al : Precise anatomy of the vesico-uterine ligament for radical hysterectomy. Gynecol Oncol 104 : 186─191, 2007
3) Fujii S, Takakura K, Matsumura N, et al : Anatomic identification and functional outcomes of the nerve sparing Okabayashi radical hysterectomy. Gynecol Oncol 107 : 4─13, 2007
4) 高倉賢二 : 広汎性子宮全摘術における膀胱子宮靱帯前・後層の安全かつ確実な処理法について.日本産科婦人科学会雑誌56 : 1389─1395,2004
5) 藤井信吾 : 産婦人科手術シリーズV─臨床解剖学と基本手技─(藤井信吾編著).pp1─105,診断と治療社,東京,2005
6) 藤井信吾,高倉賢二 : 腹式広汎子宮全摘術[2].産婦人科手術スタンダード(日本産婦人科手術学会編).pp210─227,メジカルビュー社,東京,2005
7) 由良茂夫,高倉賢二,藤井信吾 : わが教室における子宮頚がん手術.産婦治療93 : 709─716,2006
8) 樋口壽宏,高倉賢二,藤井信吾 : 拡大鏡(サージカル・ルーペ)を用いた広汎子宮全摘術.産婦の実際56 : 571─577, 2007
9) 高倉賢二,樋口壽宏,藤井信吾 : 広汎子宮全摘術における術後障害軽減の工夫.臨婦産61 : 807─811, 2007
10) 小林 隆 : 子宮頸癌手術.南江堂,1961

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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