文献詳細
今月の臨床 QOLを考慮した婦人科がん治療
【機能温存・副作用軽減】
文献概要
はじめに
婦人科癌の手術後に起こる可能性のある後遺症のなかでも,広汎子宮全摘術後の排尿障害,リンパ節郭清術後のリンパ浮腫は,患者が最も発症を危惧する後遺症である.術後の後遺症に対し,婦人科腫瘍専門医たちは,いかにその出現を減少させることができるかと,日々手術法の工夫を行っている.筆者がしばしば気になるのは,患者のQOLにかかわるこれらの後遺症の出現頻度は,実は医師はよくわかっていない,あるいはそのような統計が少ないということである.外見上,再発もなく健康を取り戻したかのような患者が,実は尿の失禁や便の失禁をすることがあるということすら,本人の訴えがない限りわからないのである.
本稿では,特に本人しか知らない後遺症,つまり排尿・排便・性交障害に関する術後の後遺症について,2001年に行った調査結果を中心に述べる.
婦人科癌の手術後に起こる可能性のある後遺症のなかでも,広汎子宮全摘術後の排尿障害,リンパ節郭清術後のリンパ浮腫は,患者が最も発症を危惧する後遺症である.術後の後遺症に対し,婦人科腫瘍専門医たちは,いかにその出現を減少させることができるかと,日々手術法の工夫を行っている.筆者がしばしば気になるのは,患者のQOLにかかわるこれらの後遺症の出現頻度は,実は医師はよくわかっていない,あるいはそのような統計が少ないということである.外見上,再発もなく健康を取り戻したかのような患者が,実は尿の失禁や便の失禁をすることがあるということすら,本人の訴えがない限りわからないのである.
本稿では,特に本人しか知らない後遺症,つまり排尿・排便・性交障害に関する術後の後遺症について,2001年に行った調査結果を中心に述べる.
参考文献
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7) Varma JS : Autonomic influences on colorectal motility and pelvic surgery. World J Surg 16 : 811─819, 1992
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