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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科63巻3号

2009年03月発行

文献概要

連載 Estrogen Series・85

先進諸国にみる最近の乳癌発生数の減少はホルモン補充療法の減少によるものである

著者: 矢沢珪二郎1

所属機関: 1ハワイ大学

ページ範囲:P.282 - P.283

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 最近のLancet誌からエストロゲン補充療法の減少と乳癌発生の減少とを関連づけたコメントをご紹介したい.この著者はノルウェーでの研究調査によるデータを基としている1).乳癌は女性の癌の23%を占める重要な癌である.乳癌発生の最大のリスク要因はエストロゲンやプロゲステロンの性ホルモンで,そのホルモンは内因性の場合もあり,HRTのような外因性の場合もある.

 オーストラリアの研究者はホルモン補充療法(HRT)と乳癌発生頻度との関連を発表している2).オーストラリアでは2001年以降HRT使用頻度が減少し,それにともなって乳癌発生の減少がみられた.この関連は50歳以上のグループに限られ,50歳以下の女性にはこのような関連はみられなかった2).これと同様の報告は米国,ニュージーランド,カナダ,ドイツ,フランスからも発表されている.

参考文献

1) Kumle M : Comment. Declining breast cancer incidence and cedreased HRT use. Lancet 372 : 608, 2008
2) Canfell K, Banks E, Moa AM, et al : Decrease in breast cancer incidence following a rapid fall in use of hormone replacement therapy in Australia. Med J Aust 188 : 641─644, 2008
3) WHI : Risks and benefits of estrogen plus progestin in healthy postmenopausal women. JAMA 288 : 321─333, 2002
4) Kerlikowske K, Miglioretti DL, Buist DS, et al : Declines in invasive breast cancer and use of postmenopausal hormone therapy in a screening mammography population. J Natl Cancer Inst 99 : 1335─1339, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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