文献詳細
文献概要
今月の臨床 ここが聞きたい―不妊・不育症診療ベストプラクティス I 不妊の検査・診断 A排卵因子 【染色体検査】
7.不妊女性に対して染色体検査を実施すべき時期や条件について教えてください.また,不妊症にかかわる染色体異常にはどんなものがあるか具体的に教えてください.
著者: 熊澤由紀代1 福田淳1 田中俊誠1
所属機関: 1秋田大学医学部附属病院産婦人科
ページ範囲:P.345 - P.347
文献購入ページに移動不妊症における染色体検査については,いつ検査を施行するかの明確な指針はなく,各施設によって異なっているのが実情である.月経異常あるいは不育症と染色体異常は,密接に関連していることから,染色体検査が必須な検査項目となり得るが,不妊症においては第一の検査ではない.しかし,原因不明の受精障害を高率にきたす場合や,反復流産の既往がある場合においては,染色体異常の頻度が上昇するので,染色体検査を実施することが望ましい.Forestaら1)は,不妊女性の遺伝学的検査の実施時期について,次のように提案している.無月経や高ゴナドトロピン血症を伴う過少月経を認める場合は,不妊症のスクリーニング検査の1つとして染色体検査を施行する.その他の症例は,表現型が正常女性である場合,不妊期間が1年以上経過した段階で染色体検査を施行することを提唱している.この基準を参考にして,症例に応じた染色体検査時期を考えるとよいだろう.
染色体検査は遺伝子学的検査であるから,「日本生殖医学会理事会・倫理委員会の報告および会告」,「遺伝学的検査に関するガイドライン」を遵守して実施する.また,染色体異常が発見された場合には,遺伝相談により今後の妊娠予後についての予測が可能であることなどを説明し,同意を得てから検査を行う.
参考文献
掲載誌情報