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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科63巻4号

2009年04月発行

文献概要

今月の臨床 ここが聞きたい―不妊・不育症診療ベストプラクティス I 不妊の検査・診断 A排卵因子 【染色体検査】

7.不妊女性に対して染色体検査を実施すべき時期や条件について教えてください.また,不妊症にかかわる染色体異常にはどんなものがあるか具体的に教えてください.

著者: 熊澤由紀代1 福田淳1 田中俊誠1

所属機関: 1秋田大学医学部附属病院産婦人科

ページ範囲:P.345 - P.347

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[1]目 的

 不妊症における染色体検査については,いつ検査を施行するかの明確な指針はなく,各施設によって異なっているのが実情である.月経異常あるいは不育症と染色体異常は,密接に関連していることから,染色体検査が必須な検査項目となり得るが,不妊症においては第一の検査ではない.しかし,原因不明の受精障害を高率にきたす場合や,反復流産の既往がある場合においては,染色体異常の頻度が上昇するので,染色体検査を実施することが望ましい.Forestaら1)は,不妊女性の遺伝学的検査の実施時期について,次のように提案している.無月経や高ゴナドトロピン血症を伴う過少月経を認める場合は,不妊症のスクリーニング検査の1つとして染色体検査を施行する.その他の症例は,表現型が正常女性である場合,不妊期間が1年以上経過した段階で染色体検査を施行することを提唱している.この基準を参考にして,症例に応じた染色体検査時期を考えるとよいだろう.

 染色体検査は遺伝子学的検査であるから,「日本生殖医学会理事会・倫理委員会の報告および会告」,「遺伝学的検査に関するガイドライン」を遵守して実施する.また,染色体異常が発見された場合には,遺伝相談により今後の妊娠予後についての予測が可能であることなどを説明し,同意を得てから検査を行う.

参考文献

1) Foresta C, Ferlin A, Gianaroli L, et al : Guidelines for the appropriate use of genetic tests in infertile couples. Eur J Hum Genet 10 : 303─312, 2002
2) Mau─Holzmann UA : Somatic chromosomal abnormalities in infertile men and women. Cytogenet Genome Res 111 : 317─336, 2005
3) Wong MS, Lam ST : Cytogenetic analysis of patients with primary and secondary ammenorrhoea in Hong Kong : retrospective study. Hong Kong Med J 11 : 267─272, 2005
4) Gekas J, Thepot F, Turleau C, et al : Chromosomal factors of infertility in candidate for couples for ICSI : an equal risk of constitutional aberrations in women and men. Hum Repro 16 : 82─90, 2001
5) Nielsen J, Sillesen I, Hansen KB : Fertility in women with Turner's syndrome. Case report and review of literature. Br J Obstet Gynecol 86 : 833─835, 1979
6) 西野共子,上口勇次郎,立野裕幸 : 体外受精における未受精卵の細胞遺伝学的検討.日産婦誌46 : 95─101,1994
7) Muune S, Aikani M, Tomkin G, et al : Embryo morphology, development rates, and maternal age are correlated with chromosome abnormalities. Fertil Steril 64 : 382─391, 1995
8) 成田琢磨,葛谷信明 : 甲状腺機能検査に異常の出る非甲状腺疾患.Medical Practice 13 : 1721─1723,1996

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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