文献詳細
今月の臨床 ここが聞きたい―不妊・不育症診療ベストプラクティス
I 不妊の検査・診断 A排卵因子 【子宮内膜日付診】
13.治療周期の子宮内膜機能の評価法について教えてください(超音波上の厚さ以外には,何に注意すればよいでしょうか).
著者: 高橋俊文1 網田光善1 倉智博久1
所属機関: 1山形大学医学部生体発達防御学講座女性医学分野
ページ範囲:P.361 - P.363
文献概要
不妊症患者における子宮内膜機能の評価とは,子宮内膜の胚に対する受容力を評価することである.着床期の子宮内膜には胞胚を受け入れることが可能な時期が想定されており,implantation windowと呼ばれている1).ヒトにおけるimplantation windowの時期は,黄体期中期の約5日間であると考えられている1).よって,黄体中期の子宮内膜が胚の着床に対して良好であるか否かを適切に評価することは,治療周期の妊娠成立の可能性を予測するうえで重要である.これまで,子宮内膜機能検査として,超音波検査と子宮内膜日付診が行われてきた.超音波検査は,簡便,迅速でありかつ非侵襲的であることから,子宮内膜機能評価法としては理想的である.以下,超音波検査を用いた子宮内膜機能評価法について述べる.
正常周期での子宮内膜の超音波所見は,月経終了後は1~3mmの線状像で描出され,卵胞期では機能層が厚みを増して,いわゆる“triple─line”パターンを示す(図1a).中央の線状のエコーは前・後壁内膜の接する面を示しており,両側壁の側にある線状エコーは基底層と機能層の境界を示している.両エコー間の距離は両側子宮内膜機能層の厚みを示す2).
超音波検査による子宮内膜機能評価は,①子宮内膜の厚さ,②エコーパターン,③子宮動脈血流または子宮内膜血流などのパラメーターについて,検討がされてきた.
参考文献
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