文献詳細
今月の臨床 ここが聞きたい―不妊・不育症診療ベストプラクティス
I 不妊の検査・診断 A排卵因子 【トルコ鞍MRI】
15.血中PRL値とトルコ鞍MRIから何がわかるのでしょうか.また,トルコ鞍MRIのピットフォールについて教えてください.
著者: 高橋俊文1 網田光善1 倉智博久1
所属機関: 1山形大学医学部生体発達防御学講座女性医学分野
ページ範囲:P.366 - P.367
文献概要
頭部のMRI検査は視床下部・下垂体における高PRL血症の原因となる占拠性病変の検出に大変有用である.PRL値が100ng/ml以上の場合,プロラクチノーマの可能性が高い.プロラクチノーマは腫瘍の大きさにより,マイクロアデノーマ(10mm未満)とマクロアデノーマ(10mm以上)に分類される.PRL値が200ng/mlを超える場合は,マクロアデノーマであることが多い.一方,PRL値が30ng/ml程度の軽度の高PRL血症であっても,マイクロアデノーマ,非機能性腺腫,中枢神経系の奇形などの可能性もあるので,薬剤の服用やその他の高PRL血症の原因がない場合は,トルコ鞍のMRI検査を行うべきである3, 4).また,30mmを超える大きなプロラクチノーマの場合,測定上の問題で実際のPRL値より低く検出されることがある(hook effect)5).マクロアデノーマの6~14%にhook effectが認められるとの報告があるので診断に際して注意する必要がある6).高PRL血症の鑑別診断手順と治療方針を図1に示す.
参考文献
掲載誌情報