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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科63巻4号

2009年04月発行

今月の臨床 ここが聞きたい―不妊・不育症診療ベストプラクティス

I 不妊の検査・診断 D男性因子 【精液検査】

24.精液検査の適応,方法,臨床的意義について教えてください.また,精液検査の精度を上げるための方法はあるのでしょうか.

著者: 岩本豪紀1 吉田淳1

所属機関: 1木場公園クリニック

ページ範囲:P.401 - P.403

文献概要

[1]はじめに

 精液検査は,男性の妊孕能を評価するうえで必須の検査であり,結果によって治療方針が左右される重要な検査である(図1).このため,不妊を主訴とするカップルが受診した際には,原則スクリーニングとして全例に行われるべき検査である.従来,精液検査はWHOマニュアル1)に則って行われてきたが,検査の標準化・quality controlはほとんど行われていなかったため,検査結果に多様性を生じる状態となっていた.この問題に対応するため,日本泌尿器科学会監修の「精液検査標準化ガイドライン」2)が2003年7月に刊行された.ガイドラインに則った検査法の詳細は「精液検査標準化ガイドライン」を参照されたい.また,ガイドラインには精液検査の精度を上げるためにCD─ROMが添付されており,精子濃度測定トレーニング用画像,精子運動率測定トレーニング用映像が収められている.これを用い,測定誤差が大きくならないよう定期的にトレーニングしていくことが重要である.しかしながら,ガイドラインに則った検査法は,われわれ臨床医が診療中に行うには手技がやや煩雑であり,日常診療では簡便性,操作性で優れているMakler計算盤を用いた検査法が広く普及している.ただし,Makler計算盤を用いた精液検査では,以下の問題点が指摘されている.

 (1)100×106/ml以上では測定が困難.

 (2)ゴミなどが混入した場合,基盤とカバーグラスの間隙が広くなる可能性があり,測定値が不正確になる.

 (3)長期の使用によりガラスの平面性の喪失をきたし,測定値が不正確になる.

 このため,Makler計算盤はこれらの点を念頭に置きつつ使用すべきである.

参考文献

1) World Health Organization : WHO Laboratory manual for the Examination of Human Semen and Semen─Cervical Mucus Interaction. 4th ed. Cambridge University Press, 1999
2) 日本泌尿器科学会 : 精液検査標準化ガイドライン.金原出版,2003
3) 吉田 淳 : すぐに役立つART実践マニュアル─木場公園クリニック式method. pp276─277,永井書店,2005
4) Kruger TF, Acosta AA, Simmons KF, et al : Predictive value of abnormal sperm morphology in in vitro fertilization. Fertil Steril 49 : 112─117, 1988

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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