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今月の臨床 ここが聞きたい―不妊・不育症診療ベストプラクティス I 不妊の検査・診断 D男性因子 【精子機能検査】
26.精子機能検査の適応,方法,臨床的意義について教えてください.また,それぞれの検査法の使い分けはどのように行うのでしょうか.
著者: 高尾徹也1 辻村晃1
所属機関: 1大阪大学大学院医学系研究科器官制御外科学(泌尿器科学)
ページ範囲:P.407 - P.409
文献購入ページに移動男性不妊症の検査として,まず施行される精液検査では精子数,運動率,奇形率などを調べることができるが,それらのパラメータでは異常所見がみられない場合がある.その場合,女性側の因子に問題がなければ,精子の機能に問題がある場合が考えられる.精子は,精巣から精巣上体,精管を通過していく間に受精能が獲得され,最終的には卵との受精の際には先体反応やhyper activationと呼ばれる過程が必要とされる.その過程で異常がみられれば受精が起こらない.したがって,男性不妊症患者のうち,精液検査で特に異常がみられず,受精が成立していない患者に対して精子機能検査は適応になる.乏精子症,運動率低下症例も複合的な原因が考えられるため,施行する意義はあると考えられる.ただし,実際には一般臨床では,精子機能検査は保険診療の問題でルーチン検査としては使用されていないのが現状である.以下に,いくつかの検査を解説する1~4).
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