文献詳細
今月の臨床 ここが聞きたい―不妊・不育症診療ベストプラクティス
I 不妊の検査・診断 D男性因子 【染色体検査・Y染色体微小欠失】
28.無精子症における遺伝的検査の意義はわかりますが,高度乏精子症においても染色体検査を勧めるべきでしょうか.わかりやすく教えてください.
著者: 高尾徹也1 辻村晃1
所属機関: 1大阪大学大学院医学系研究科器官制御外科学(泌尿器科学)
ページ範囲:P.415 - P.417
文献概要
男性不妊症患者では,染色体異常の頻度が一般集団のそれと比べて高いといわれている.松田1)の集計では,精子濃度2×106/ml以下の乏精子症患者でも性染色体異常および常染色体異常の頻度は1.7%,3.3%,全体で5%であったとしている.性染色体異常には,クラインフェルター症候群,47, XYYなどがあり,常染色体異常にはロバートソン転座,常染色体相互転座,逆位などがある.
体外受精,顕微受精では,これらの染色体異常による不妊症であっても挙児可能であることから,次世代への染色体異常の伝播が引き起こされる.したがって,補助生殖医療を受ける不妊カップルへの十分なカウンセリングが必要となると考えられる2).以下に,代表的な疾患を概説する.
参考文献
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