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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科63巻4号

2009年04月発行

文献概要

今月の臨床 ここが聞きたい―不妊・不育症診療ベストプラクティス II 不妊の治療 B手術療法 【腹腔鏡下手術】

56.腹腔鏡下手術での術後癒着防止の方法について教えてください.何が一番有効なのでしょうか.

著者: 舩渡孝郎1

所属機関: 1日生病院産婦人科

ページ範囲:P.507 - P.509

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[1]はじめに

 術後癒着問題に関しては,多くの外科系の医師が昔も今も悩んでいる課題である.癒着発生機序に関してはさまざまな研究がなされている1).また,腹腔鏡下手術は開腹手術に比べ癒着の少ない利点2, 3)があるが,特に妊孕能を温存する手術(筋腫核出術4),内膜症手術,卵巣腫瘍手術など)には術後癒着防止としていろいろな工夫がなされている.

 多くの癒着の原因としては,

 ・感染

  ・手術器具の不完全な消毒

  ・術野の不完全消毒(腹腔鏡下手術では,臍部の術前処置を完全にすることが重要)

  ・手術室の落下菌(腹腔鏡下手術では影響は少ない)

 ・長期にわたるドレーン留置(異物)

 ・不完全な止血

 特に内膜症の手術において頻度が高い

 ・全身状態の問題

 ・長時間手術による術野の乾燥(腹腔鏡下手術では影響は少ない)

 などが列記される.

 また,上記の問題点の対策に付け加えて早期離床を促し,腸管の蠕動運動を早くに回復させることも重要であると考える.その点腹腔鏡下手術は低侵襲手術のため,術後疼痛が少なく,早期離床が可能で癒着予防にもつながる.

参考文献

1) 星合 昊 : 癒着の発生機序に関する研究.産婦マイクロ6 : 64─68,1993
2) Carrard CL, Clements RH, Nanney L, et al : Adhesion formation is reduced after laparoscopic surgery. Surg Endosc 13, 1999
3) Lavrant SG, Bieber EJ, Barnes RB : Anterior abdominal wall adhesions after laparotomy or laparoscopy. J Am Assoc Gynecol Lparosc 4 : 353─356, 1997
4) Myomectomy adhesio multicenter study group(MAMSG) : Anexpanded polytetrafluoroethyene barrier(Gore─Tex surgical membrane)reduces post myomectomy adhesion formation. Fertil Steril 63 : 491─493, 1995

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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