文献詳細
今月の臨床 ここが聞きたい―不妊・不育症診療ベストプラクティス
II 不妊の治療 B手術療法 【腹腔鏡下手術】
56.腹腔鏡下手術での術後癒着防止の方法について教えてください.何が一番有効なのでしょうか.
著者: 舩渡孝郎1
所属機関: 1日生病院産婦人科
ページ範囲:P.507 - P.509
文献概要
術後癒着問題に関しては,多くの外科系の医師が昔も今も悩んでいる課題である.癒着発生機序に関してはさまざまな研究がなされている1).また,腹腔鏡下手術は開腹手術に比べ癒着の少ない利点2, 3)があるが,特に妊孕能を温存する手術(筋腫核出術4),内膜症手術,卵巣腫瘍手術など)には術後癒着防止としていろいろな工夫がなされている.
多くの癒着の原因としては,
・感染
・手術器具の不完全な消毒
・術野の不完全消毒(腹腔鏡下手術では,臍部の術前処置を完全にすることが重要)
・手術室の落下菌(腹腔鏡下手術では影響は少ない)
・長期にわたるドレーン留置(異物)
・不完全な止血
特に内膜症の手術において頻度が高い
・全身状態の問題
・長時間手術による術野の乾燥(腹腔鏡下手術では影響は少ない)
などが列記される.
また,上記の問題点の対策に付け加えて早期離床を促し,腸管の蠕動運動を早くに回復させることも重要であると考える.その点腹腔鏡下手術は低侵襲手術のため,術後疼痛が少なく,早期離床が可能で癒着予防にもつながる.
参考文献
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