文献詳細
今月の臨床 ここが聞きたい―不妊・不育症診療ベストプラクティス
II 不妊の治療 C人工授精 【人工授精の方法】
文献概要
非配偶者間人工授精(artificial insemination donor:AID)は,夫以外の男性から提供を受けた精子を妻の頸管内,あるいは,子宮腔内に注入することにより授精をはかる方法であり,無精子症を主とする重度造精機能障害の夫婦が対象となる1).適応夫婦を選択する際には,少なくとも配偶者間人工授精(artificial insemination with husband's semen:AIH)の場合と同様に,男性因子以外の原因を除外できていることが原則となり,実際の実施に関しても,その手順はAIHと同じである.また,当然のことながら,本法の実施には,大きな社会的,倫理的,家庭的問題が含まれており,これらを十分に踏まえた遂行が重要であるが,われわれが何より最優先に深く考慮すべきは,本法により誕生する子どもたちの安寧であり,本法にかかわる当事者の揺るぎない自覚,深い認識,そして,大きな決断が必要であることは言を待たないが,本稿でその内容に触れることはあえて差し控え,他稿に委ねたい.
わが国においては,AIDは1948年以降特定の医療機関で実施され,1996年それを追認する形ではあるが,日本産科婦人科学会が「『非配偶者間人工授精と精子提供』に関する見解」を会告として示し2),現在わが国では,これに基づいて一部の医療機関において実施されている.最新のわが国におけるAID治療成績が日本産科婦人科学会から報告されており(表1)3),それによると,妊娠率は対症例23.2%,対周期6.3%である.
わが国においては,AIDは1948年以降特定の医療機関で実施され,1996年それを追認する形ではあるが,日本産科婦人科学会が「『非配偶者間人工授精と精子提供』に関する見解」を会告として示し2),現在わが国では,これに基づいて一部の医療機関において実施されている.最新のわが国におけるAID治療成績が日本産科婦人科学会から報告されており(表1)3),それによると,妊娠率は対症例23.2%,対周期6.3%である.
参考文献
1) 丸山哲夫,吉村泰典 : 非配偶者間人工授精(AID).新しい生殖医療技術のガイドライン,改訂第2版(日本不妊学会 編).pp25─38,金原出版,2003
2) 日本産科婦人科学会 : 非配偶者間人工授精と精子提供に関する見解.日産婦誌49 : 11─13,1997
3) 齊藤英和 : 平成19年度倫理委員会登録・調査小委員会報告(2006年分の体外受精・胚移植等の臨床実施成績および2008年3月における登録施設名).日産婦誌60 : 1230─1242,2008
4) The European IVF─monitoring programme(EIM)for the European Society of Human Reproduction and Embryology(ESHRE), (Anderson AN, et al) : Assisted reproductive technology in Europe, 2002. Results generated from European registers by ESHRE. Hum Reprod 21 : 1680─1697, 2006
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