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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科63巻4号

2009年04月発行

今月の臨床 ここが聞きたい―不妊・不育症診療ベストプラクティス

III 不育症の検査・診断 A遺伝因子 【染色体異常】

93.染色体異常と不育症との関連について教えてください.また,不育症カップルの染色体検査の至適時期はいつでしょうか.

著者: 山本樹生1

所属機関: 1日本大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.626 - P.627

文献概要

[1]不育症の原因としての染色体異常の頻度

 Coulamは,不育症の原因として,ホルモン異常29%,子宮の器質的異常10%, 胎児の染色体異常6%,免疫異常40%,不明15%を,牧野ら1)は,内分泌異常10%,子宮内腔異常15%,染色体異常10%,自己抗体20%,不明45%とし,杉浦2)らは染色体異常は22.5%としており,報告により多少違いがある.

 しかし,杉浦ら2)の流産回数による反復流産の染色体異常の検討によると,流産回数が増えるにつれて染色体異常が減少するが,2~4回の流産ではまだ50%以上の染色体異常があるとしている.このため,2~4回の反復流産では,自然流産の染色体異常の頻度に比し,染色体異常はかなり少ないとの考えを訂正する必要がある.

参考文献

1) 牧野恒久,井面昭文,杉 俊隆 : 反復流産の病態分類と治療指針.産婦治療88 : 736─741,2004
2) 杉浦真弓 : 不育症における染色体異常.産婦治療88 : 750─753,2004
3) 大濱紘三 : 妊娠早期流産に関する新しい考え方.日医医報505 : 10─11,1992
4) Sugiura─Ogasawara M, Ozaki Y, Sato T, et al : Poor prognosis of recurrent aborters with either maternal or paternal reciprocal translocations. Fertil Steril 81 : 367─373, 2004
5) Sugiura─Ogasawara M, Aoki K, Fujii T, et al : Subsequent pregnancy outcomes in recurrent miscarriage patients with a paternal or maternal carrier of a structural chromosome rearrangement. J Hum Genet 53 : 622─628, 2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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