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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科63巻4号

2009年04月発行

今月の臨床 ここが聞きたい―不妊・不育症診療ベストプラクティス

III 不育症の検査・診断 B免疫因子 【抗リン脂質抗体】

94.抗リン脂質抗体症候群の診断基準について教えてください.また,不育症の原因となる抗リン脂質抗体のなかで,関与の大きいものは何でしょうか.

著者: 山本樹生1 青木洋一1 中村晃和1

所属機関: 1日本大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.629 - P.631

文献概要

[1]抗リン脂質抗体の種類

 抗リン脂質抗体は,リン脂質に対する自己抗体のみではなく,リン脂質に結合するβ2─グリコプロテイン─I(GPI),プロトロンビン,キニノーゲンなどの分子に対する抗体からなる.抗リン脂質抗体としては,抗カルジオリピン抗体,抗CL/β2─GPI抗体,抗フォスファチジルセリン抗体,抗フォスファチジルエタノールアミン抗体,ループスアンチコアグラントなどが知られている(表1).その1つである抗CL/β2─GPI抗体はカルジオリピンにもβ2─GPIにも結合せず,カルジオリピンに結合したβ2─GPIの新しい抗原結合部位に結合する抗体で血栓症などの病態との関連性が高く病原性が強い.

参考文献

1) Sugi T, Katsunuma J, Izumi S, et al : Prevalence and heterogeneity of antiphosphatidylethanolamine antibodies in patients with recurrent early pregnancy losses. Fertil Steril 71 : 1060─1065, 1999
2) Miyakis S, Lockshin MD, Atsumi T, et al : International consensus statement on an update of the classification criteria for definite antiphospholipid syndrome(APS). J Thromb Haemost 4 : 295─306, 2006
3) Holers VM, Girardi G, Mo L, et al : Complement C3 activation is required for antiphospholipid antibody─induced fetal loss. J Exp Med 195 : 211─220, 2002
4) 佐々木重胤,山本樹生,村瀬隆之 : 流産または死産をくりかえした抗リン脂質抗体陽性例における補体の変動.臨免疫会誌29 : 372─377,2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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