文献詳細
今月の臨床 ここが聞きたい―不妊・不育症診療ベストプラクティス
III 不育症の検査・診断 B免疫因子 【抗リン脂質抗体】
94.抗リン脂質抗体症候群の診断基準について教えてください.また,不育症の原因となる抗リン脂質抗体のなかで,関与の大きいものは何でしょうか.
著者: 山本樹生1 青木洋一1 中村晃和1
所属機関: 1日本大学医学部産婦人科
ページ範囲:P.629 - P.631
文献概要
抗リン脂質抗体は,リン脂質に対する自己抗体のみではなく,リン脂質に結合するβ2─グリコプロテイン─I(GPI),プロトロンビン,キニノーゲンなどの分子に対する抗体からなる.抗リン脂質抗体としては,抗カルジオリピン抗体,抗CL/β2─GPI抗体,抗フォスファチジルセリン抗体,抗フォスファチジルエタノールアミン抗体,ループスアンチコアグラントなどが知られている(表1).その1つである抗CL/β2─GPI抗体はカルジオリピンにもβ2─GPIにも結合せず,カルジオリピンに結合したβ2─GPIの新しい抗原結合部位に結合する抗体で血栓症などの病態との関連性が高く病原性が強い.
参考文献
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