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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科63巻4号

2009年04月発行

今月の臨床 ここが聞きたい―不妊・不育症診療ベストプラクティス

III 不育症の検査・診断 C子宮因子 【頸管無力症】

96.頸管無力症の診断基準・診断方法について教えてください.

著者: 宮川智幸1

所属機関: 1宮川医院産婦人科

ページ範囲:P.634 - P.635

文献概要

[1]はじめに

 頸管無力症(cervical insufficiency,cervical incompetence:CI)とは,「妊娠16週以降にみられる習慣流早産の原因の1つである.外出血とか子宮収縮などの,切迫流早産徴候を自覚しないにもかかわらず,子宮口が開大し,胎胞が形成されてくる状態である」と定義されている1).しかし,誰もが認めるCIの明確な診断基準はなく,その診断方法も正確なものは存在しないのが現状である.従来,妊娠中期の流早産既往歴や子宮口開大・胎胞脱出などの内診所見をもって,臨床的にCIと診断していたが,早産予防は難しく,もっと早い段階での診断が望まれた.早産予知のために,経腟超音波検査による子宮頸部の評価が連続的・客観的に可能となり,切迫流早産徴候を伴わない頸管短縮例や内子宮口の開大(funneling)例を広義のCIに含めるようになった.CIの疾患概念そのものが変化し,必ずしも切迫流早産との鑑別は容易でなくなっている.

参考文献

1) 日本産科婦人科学会(編) : 産科婦人科用語集・用語解説集,改訂新版.p208,金原出版,2003
2) Matijevic R, Grgic O, Vasilj O : Is sonographic assessment of cervical length better than digital examination in screening for preterm delivery in a low risk population? Acta Obstet Gynecol Scand 85 : 1342─1347, 2006
3) Iams JD, Goldenberg RL, Meis PJ, et al : The length of the cervix and the risk of spontaneous preterm delivery. N Engl J Med 334 : 567─572, 1996
4) Owen J, Yost N, Berghella V, et al : Mid─trimester endovaginal sonography in women at high risk for spontaneous preterm birth. JAMA 286 : 1340─1348, 2001
5) American College of Obstetricians and Gynecologists : Cervical insufficiency. ACOG Practice Bulletin No48. Obstet Gynecol 102 : 1091─1099, 2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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