文献詳細
今月の臨床 ここが聞きたい―不妊・不育症診療ベストプラクティス
IV 不育症の治療 A手術療法 【頸管縫縮術】
99.予防的頸管縫縮術の適応と禁忌について教えてください.頸管縫縮術は本当に効果があるといえるのでしょうか?
著者: 髙木耕一郎1
所属機関: 1東京女子医科大学東医療センター産婦人科
ページ範囲:P.643 - P.645
文献概要
頸管無力症とは妊娠16週ごろ以後にみられる習慣流産の原因の1つであり,外出血や子宮収縮などの,切迫流産徴候を自覚しないにもかかわらず子宮口が開大し,胎胞が形成されてくる状態であるとされている.歴史的には1850年台,欧米で月経困難症や不妊症に対して頸管切開による頸管拡張手術が行われていたが,その手術後の妊娠において流早産が起こることから,1955年,インドのムンバイの産婦人科医であるShirodkar1)が患者本人の大腿筋膜片を使って,内子宮口の高さで頸管を縫縮する手術を考案した.この報告では妊娠4~7か月に4回以上,流早産を繰り返した女性30例を対象としており,Shirodkarは習慣流産の原因として,頸管の括約筋が弱いものが95%を占め,残りの5%は子宮の低形成,ないし奇形であろうと考察した.続いて1957年にMcDonald2)が同様の症例70例を対象に,絹糸を用いた頸管縫縮術を考案して報告した.このように歴史的には外傷性と考えられる頸管無力症に対して頸管縫縮術が考案されたことは興味深い.頸管無力症の原因と診断ををそれぞれ表1,2に示す.
参考文献
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