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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科63巻4号

2009年04月発行

文献概要

今月の臨床 ここが聞きたい―不妊・不育症診療ベストプラクティス IV 不育症の治療 C免疫療法 【免疫療法】

101.不育症患者の同種免疫異常の治療法として,夫リンパ球移植による免疫療法や,OK 432(ピシバニール)療法,ガンマグロブリン大量投与法などがあります.それぞれの位置づけ有効性,保険適用などについて教えてください.

著者: 藤井知行1

所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科産婦人科学

ページ範囲:P.650 - P.651

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[1]はじめに

 胎児の染色体の半数は父親由来である.したがって,胎児は父親の抗原を保有し,母体からみると(半)同種移植片であり,本来母体の移植免疫反応により拒絶されるはずである.しかし,実際は9か月間子宮内で生存,発育する.この現象には特殊な妊娠維持免疫反応(同種免疫反応)が働いているとされ,この破綻により不育症が生じる場合があると考えられている.同種免疫反応異常を示唆する検査所見として,白血球抗原(human leukocyte antigen:HLA)の夫婦間相同性や,母体ナチュラルキラー細胞の活性の高さなどが報告されているが,確定的なものは存在していない.したがって原因不明とされたもののなかに同種免疫異常による不育症が存在するとして,多くの場合,免疫療法が実施されている.なお,免疫療法が対象とする不育症は,主として,流産を反復する習慣流産である.また,すべての免疫療法に健康保険適用はない.

参考文献

1) Taylor C, Faulk WP : Prevention of recurrent abortion with leucocyte transfusions. Lancet 2(8237) : 68─70, 1981
2) Mowbray JF, Gibbings C, Liddell H, et al : Controlled trial of treatment of recurrent spontaneous abortion by immunisation with paternal cells. Lancet 1(8435) : 941─943, 1985
3) Porter TF, LaCoursiere Y, Scott JR : Immunotherapy for recurrent miscarriage. Cochrane Database Syst Rev 2 : CD000112, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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