文献詳細
連載 教訓的症例から学ぶ産婦人科診療のピットフォール・43
分娩後に縦隔気腫を発症した1例
著者: 浜田信一1 矢野清人1 中山聡一朗1 田村貴央1 松井寿美佳2 横山裕司3
所属機関: 1公立学校共済組合四国中央病院産婦人科 2徳島赤十字病院産婦人科 3医療法人薫風会佐野病院産婦人科
ページ範囲:P.742 - P.746
文献概要
患 者 30歳,未経妊
既往歴・家族歴 特記すべきことなし
現病歴
2005年9月1日を最終月経として10月6日に当科初診し,妊娠の診断を受けた.その後の妊娠経過は特に異常は認めなかったが,妊娠36週頃より血圧の上昇傾向があった.
2006年6月5日(妊娠39週4日)に,血圧138/98 mmHgと上昇したため妊娠高血圧症候群の診断にて入院管理とした.入院後は減塩・低カロリー食(食塩6 g/日未満,カロリー1,600 kcal/日)でフォローアップし,血圧は120/70~130/84 mmHgの範囲を推移した.
6月8日の深夜に自然陣痛が発来した.分娩第1期は特に問題なかったが,第2期は微弱陣痛のため分娩が停止し,オキシトシン点滴による陣痛増強を要した.それでも分娩の進行は遅く,母体血圧も190/120 mmHgまで上昇したため吸引分娩を施行し,6月8日(妊娠40週0日)の13時47分に2,814 gの女児を出産した.結局,分娩時間は第1期が10時間30分,第2期は3時間47分であった.出血量は152 gと少量であった.血圧はその後上昇することなく推移し,翌6月9日には126/80~130/90 mmHgと落ち着いた.
ところが,6月9日の朝から軽度の胸背部痛を訴えるようになり(その痛みは寝返りなど体動時に増強),また顔面右側(頰部)の腫脹にも気づいた.「開口時に耳の奥で音がする」との訴えもあった.
参考文献
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