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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科63巻8号

2009年08月発行

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編集後記 フリーアクセス

著者: 神崎秀陽

ページ範囲:P.1108 - P.1108

文献概要

 新たな理念で始められたはずの新研修制度が,発足からわずか6年で,来年度から大きく変更することが決められました.医師不足が問題となっている産婦人科や小児科などの学会から,あるいは医学生自身から強い反対があったにもかかわらず,これまでは必修となっていた産婦人科,小児科,精神科,外科,麻酔科の中から2科のみを選択すればよいこととなります.広くパブリックコメントを聞くとされたため,学会や個人から多くの反対意見が寄せられたにもかかわらず,ほぼ原案のとおり,2年の初期研修期間で内科と救急以外はすべて選択となりました.しかし定められている研修到達目標をどのようにしてクリアするのか,あるいは到達目標自体を変えるのかについては一切示されていません.20名以上の研修医を募集する施設では,その定員内で2名以上の産婦人科コースと小児科コースを設けることとなっていますが,このようなプログラム変更が,来年度以降の産婦人科志望者数にどう影響するのか予測は困難です.新研修制度修了後の平成18年に半分程度にまで激減していた新入産婦人科医師数は,医学界のみならず一般社会をも巻き込んだキャンペーン活動によって,今年ようやく平成15年以前のレベル近くにまで回復してきていました.この動向に研修制度の変更がどう影響するか非常に懸念されます.

 今年度から医師不足診療科への対策という名目で,医学部入学定員の約10%増が認められました.またカリキュラムにも,産婦人科,小児科,救命救急科などが担当する「医師不足診療科の問題を考える」というセミナーとワークショップが加えられました.学生と議論しながら現状を諸外国とも比較しつつ分析・検討していますが,産婦人科医師の絶対数不足と偏在という問題は,医学部定員の増加や医学生への教育のみで解決できるとは思われません.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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