文献詳細
今月の臨床 婦人科がん検診
【子宮頸がん検診】
文献概要
はじめに
ベセスダ分類は,1987年に米国のウォールストリートジャーナルにおいて子宮頸癌の細胞診の偽陰性の多さが報道され社会問題化した結果,1988年にメリーランド州のベセスダにおいて米国国立癌研究所(NCI)の主催の下で作成された子宮頸部細胞診の報告様式である.標本の適正性を報告様式に加えることによって偽陰性を少なくしようとしたものであるが,1991年,2001年の2回にわたって改定され,現在では日本を除く全世界で使用されている.
わが国においては,1973年に日本母性保護医協会によって作成された日母分類が広く使用されてきたが,最近報告様式の改定の動きがある.改定の理由としては,(1)日母分類には種々の弊害があること1),(2)国際的には通用しないこと,(3)子宮頸癌以外の他領域(乳腺,甲状腺)においてクラス分類からの脱却が行われていること,などが挙げられる.報告様式の改定は当然のことながらベセスダ分類を基本として検討されているが,ベセスダシステムをそのまま本邦に導入するには多くの問題点を抱えており,本邦の実情に合った改変が必要であろう.
ベセスダ分類は,1987年に米国のウォールストリートジャーナルにおいて子宮頸癌の細胞診の偽陰性の多さが報道され社会問題化した結果,1988年にメリーランド州のベセスダにおいて米国国立癌研究所(NCI)の主催の下で作成された子宮頸部細胞診の報告様式である.標本の適正性を報告様式に加えることによって偽陰性を少なくしようとしたものであるが,1991年,2001年の2回にわたって改定され,現在では日本を除く全世界で使用されている.
わが国においては,1973年に日本母性保護医協会によって作成された日母分類が広く使用されてきたが,最近報告様式の改定の動きがある.改定の理由としては,(1)日母分類には種々の弊害があること1),(2)国際的には通用しないこと,(3)子宮頸癌以外の他領域(乳腺,甲状腺)においてクラス分類からの脱却が行われていること,などが挙げられる.報告様式の改定は当然のことながらベセスダ分類を基本として検討されているが,ベセスダシステムをそのまま本邦に導入するには多くの問題点を抱えており,本邦の実情に合った改変が必要であろう.
参考文献
1) 柏村正道,松浦祐介,川越俊典,他 : Papanicolaouクラス分類の問題点.産業医科大学雑誌15 : 37─43,1993
2) 川越俊典,卜部理恵,松浦祐介,他 : 福岡県における子宮頸部細胞診の報告様式に対する意識調査.日本臨床細胞学会九州連合会雑誌40 : 95─99,2009
3) 柏村賀子,松村真理子,岡 康子,他 : 子宮頸がん検診報告様式における問題点.日本臨床細胞学会雑誌47 : 4─13,2008
4) Kashimura M, Baba S, Nakamura S, et al : Short-term estrogen test for cytodiagnosis in postmenopausal women. Diag Cytopathol 3 : 181─184, 1987
5) Richart RM : The natural history of cervical intraepithelial neoplasia. Clin Obstet Gynecol 10 : 748─784, 1967
6) Sodhani P, Gupta S, Singh V, et al : Eliminating the diagnosis atypical squamous cells of undetermined significance. Acta Cytol 48 : 783─787, 2004
7) Solomon D and Nayar R : The Bethesda System for Reporting Cervical Cytology. Second Edition, Springer 2004
8) 関本哉恵,松井明香,久原貴志,他 : ASCの細胞像.日本臨床細胞学会九州連合会雑誌40 : 27─31,2009
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