文献詳細
今月の臨床 母体救命搬送
【救急搬送のタイミングと応急処置】 3.診断未確定の重篤な症状
文献概要
はじめに
母体救命搬送システムが整備されても,それだけで母子の予後が改善されるわけではない.システムを運用する「人の力」,なかでも産婦人科医の判断力や臨床能力が,母子の予後に大きな影響を与えることは明らかである.一方,一次・二次医療施設の医師が重篤な症状を呈する妊産婦を診療する機会は,それほど多くはない.しかし,稀な疾患や専門外の疾患に救急合併症として遭遇した場合でも,高次医療施設へ的確なタイミングで搬送することが求められる.産婦人科専門医として,重症妊産婦への適切な対応ができるように,日ごろから関連疾患の知識を整理しておくことが,母子の予後改善につながる.
母体救命搬送システムが整備されても,それだけで母子の予後が改善されるわけではない.システムを運用する「人の力」,なかでも産婦人科医の判断力や臨床能力が,母子の予後に大きな影響を与えることは明らかである.一方,一次・二次医療施設の医師が重篤な症状を呈する妊産婦を診療する機会は,それほど多くはない.しかし,稀な疾患や専門外の疾患に救急合併症として遭遇した場合でも,高次医療施設へ的確なタイミングで搬送することが求められる.産婦人科専門医として,重症妊産婦への適切な対応ができるように,日ごろから関連疾患の知識を整理しておくことが,母子の予後改善につながる.
参考文献
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