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今月の臨床 母体救命搬送 【地域における母体救命搬送体制と問題点】
1.東京都
著者: 岡井崇1
所属機関: 1昭和大学医学部産婦人科学教室
ページ範囲:P.57 - P.62
文献購入ページに移動はじめに
日本の周産期救急医療体制は,これまで産科と新生児を扱う医療機関相互の連携を中心に整備されてきた.各都道府県に周産期母子医療センターが設置され,一次・二次施設と同センターおよびセンター間の連携で救急患者の搬送システムが構築されている.このネットワークの活用で,東京都でも一般産科救急患者およびハイリスク新生児の予後は著しく向上したが,この周産期医療システムのみでは偶発合併症による緊急事態などへの万全な対応ができない事実を,平成20年10月に起きた妊婦の救急搬送困難事例が世に晒したといえる.
これを受け,東京都では母体救命搬送のための新しいシステムを構築し,それをこれまでの周産期ネットワークシステムに加える形で,本年4月より運用を開始している.このシステムは,都の周産期医療協議会で立案し慎重な検討を重ねたうえで,消防庁ならびに多くの関連医療機関と関連各科の協力を得て樹立されたものである.本稿では,本システムを導入するに至った経緯,システムの概要ならびにこれまでの実績について述べることとする.
日本の周産期救急医療体制は,これまで産科と新生児を扱う医療機関相互の連携を中心に整備されてきた.各都道府県に周産期母子医療センターが設置され,一次・二次施設と同センターおよびセンター間の連携で救急患者の搬送システムが構築されている.このネットワークの活用で,東京都でも一般産科救急患者およびハイリスク新生児の予後は著しく向上したが,この周産期医療システムのみでは偶発合併症による緊急事態などへの万全な対応ができない事実を,平成20年10月に起きた妊婦の救急搬送困難事例が世に晒したといえる.
これを受け,東京都では母体救命搬送のための新しいシステムを構築し,それをこれまでの周産期ネットワークシステムに加える形で,本年4月より運用を開始している.このシステムは,都の周産期医療協議会で立案し慎重な検討を重ねたうえで,消防庁ならびに多くの関連医療機関と関連各科の協力を得て樹立されたものである.本稿では,本システムを導入するに至った経緯,システムの概要ならびにこれまでの実績について述べることとする.
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