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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科64巻1号

2010年01月発行

連載 Current Clinic

母体救急搬送の「社会的側面」を考える―当院へ直接搬送された妊産婦の実像

著者: 水主川純1 定月みゆき1 五味淵秀人1 箕浦茂樹1 松下竹次2 木村昭夫3

所属機関: 1国立国際医療センター戸山病院産婦人科 2国立国際医療センター戸山病院小児科 3国立国際医療センター戸山病院救急科

ページ範囲:P.98 - P.102

文献概要

 周産期救急医療体制の現状が社会的問題になっている.直接搬送では患者申告や救急隊の情報だけで受け入れる場合もある.当院へ直接搬送された妊婦の背景を検討すると,「母体救急医療」「未受診妊婦」「妊娠中の不安」「自宅とかかりつけ医療機関が遠距離である妊婦の急速な分娩進行」「旅行中の異常」に大別された.母体救急医療が必要な症例の受け入れには産科と他科の連携が重要である.一方で,妊婦への保健指導や未受診妊婦に対する行政支援などによって,直接搬送のための救急車要請件数を減少できる可能性もある.安心できる周産期救急医療体制構築のために,社会全体で取り組むことが望まれる.

参考文献

1) 水主川純,山本直子,中西美紗緒,他 : 妊娠25週に飛び降り自殺未遂にて多発外傷を負った後,集学的周産期管理により満期に生児を得た1例.日産婦関東連会誌46 : 41─45,2009
2) 松田義雄 : 平成20年度厚生労働科学研究「わが国における新しい妊婦健診体制構築のための研究」総括・分担研究報告書.144─167,2009
3) 水主川純,定月みゆき,箕浦茂樹,他 : 当科における妊婦健康診査未受診妊婦の検討.日本周産期・新生児医学雑誌45 : 32─35,2009
4) 救急要請における産科・周産期傷病者搬送実態調査の結果について.総務省消防庁ホームページ2007 : http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/houdou/191026/191026_sanka.pdf
5) 山田 俊,水上尚典 : 精神疾患合併妊娠.周産期医学36 : 1191─1194,2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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