臨床婦人科産科64巻1号

2010年01月発行

症例

妊娠中にStevens─Johnson症候群を発症した1早産例

著者： 高地圭子¹ 八十島邦昭¹ 新居隆¹ 水野美幸² 山下陽子³ 丸山裕美子⁴ 中浜亨⁵

所属機関： ¹黒部市民病院産婦人科 ²黒部市民病院皮膚科 ³黒部市民病院眼科 ⁴黒部市民病院耳鼻咽喉科 ⁵黒部市民病院内科

ページ範囲：P.104 - P.107

　Stevens─Johnson症候群とは，発熱，関節痛などの全身症状とともに，多形滲出性紅斑様皮疹が急激に全身に生じ，口腔，鼻，眼，外陰などの粘膜にも広範なびらんが発生する重篤な疾患である．

　今回われわれは，妊娠25週に葉酸のサプリメントが原因物質と思われるStevens─Johnson症候群を発症し，ステロイド治療により急性期を克服したのち，妊娠32週で緊急帝王切開による分娩となった1例を経験したので，その治療，妊娠分娩経過について報告する．

参考文献

1） 今村貞夫 : 標準皮膚科学，第5版．pp148─149，1999

2） 清水　宏 : あたらしい皮膚科学．pp117─118，2005

3） 相原道子 : SJS／TEN 2006─予後・重症化の因子．皮アレルギーフロンテ4（2） : 17─21，2006

4） 藤山幹子 : 薬疹の検査．臨検50（8） : 889─891，2006

5） 相原道子 : 薬疹の治療．治療89（12） : 3293─3297，2007

6） 相原道子 : 薬疹の検査法update─リンパ球刺激試験．医のあゆみ220（11） : 875─878，2007

7） 木下伸吾，松下　聡，木部博文，他 : 切迫早産治療中に発症したStevens─Johnson症候群の一例．東海産婦会誌40 : 232，2003

8） 山口敦巳，宮崎正浩，松本陽二，他 : 産褥乳腺炎治療中に発症したStevens─Johnson症候群の1例．産と婦55（10） : 1924─1928，1988

9） 尾野大洋，木村雅明，大橋則夫，他 : 妊娠37週より発症したStevens─Johnson症候群の1例．日皮会誌117（4） : 657，2007

10） Marazzi MC, Germano P, Liotta G, et al : Safety of nevirapine─containing antiretroviral triple therapy regimens to prevent vertical transmission in an African cohort of HIV─1─infectedpregnant woman．HIV Med 7（5） : 338─344, 2006