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雑誌目次

雑誌文献

臨床婦人科産科64巻3号

2010年03月発行

雑誌目次

今月の臨床 子宮頸がんの予防戦略―ワクチンと検診 HPVワクチン─確実な予防効果

1.子宮頸がんは予防すべき「がん」である

著者: 小西郁生

ページ範囲:P.242 - P.245

はじめに

 2009年10月16日,わが国においても,ついにヒトパピローマウイルス(human papillomavirus : HPV)の感染を予防するワクチンが正式承認された.このことにより子宮頸がんの発生原因であるHPVの60~70%を占める16型および18型の感染を防ぐことが可能となり,このワクチン接種と従来からの子宮頸がん検診の両方を押し進めることにより,わが国において,あるいはこの地球上で,子宮頸がんの発生を限りなくゼロに近づける展望が開けてきたといえる.そこで,本稿では子宮頸がんの原因を探求してきた歴史を振り返りながら,現在,われわれが立っている地点を確認し,近未来における子宮頸がん征圧を展望したい.

2.子宮頸がんは発がん機序が解明されている

著者: 豊島将文 ,   八重樫伸生

ページ範囲:P.247 - P.251

はじめに

 子宮頸がんの大部分はヒトパピローマウイルス(human papillomavirus : HPV)の長期感染が原因で起こることが解明されている.HPVワクチンは非常に効率的にhigh risk型のHPV感染を予防できるので,子宮頸がんを始めとするHPV関連がんの予防に大きな効果が期待できる.しかし,ワクチンはHPV既感染者には無効であり,かつがん患者への治療効果もない.さらに長期間での有効性やHPV型特異性にも課題が残っている.新たな子宮頸がん治療や次世代HPVワクチンの開発のためには,HPV感染から発がんに向かう過程でのHPVのlife cycleやウイルス蛋白が発がんに関与する分子学的な機構の理解がきわめて重要である.そのような観点から,本稿ではHPVによる子宮頸がん発がんの分子機構やHPV型と子宮頸がん発生のリスクに焦点を当てて概説したい.

3.HPVワクチンの現状

著者: 吉川裕之

ページ範囲:P.252 - P.255

はじめに

 ヒトパピローマウイルス(human papillomavirus : HPV)では,約15の型(16,18,31,33,35,39,45,51,52,56,58,59,68,69,73,82型など)が,子宮頸がん関連HPVとして知られ,最も高頻度に検出されるのはHPV16であり,次いでHPV18である1).子宮頸がんの原因とはならないHPVはlow-risk typesと呼ばれ,尖圭コンジローマや喉頭乳頭種(小児型,成人型)の原因であるHPV6,11型が代表的である.

 HPV感染は最も頻度の高い性感染で,20歳前後の女性のコホート研究では3~5年で40~60%にHPV感染が起こる2).HPV感染からみると,子宮頸がん発生は,むしろ例外的なイベントといえる.HPVがん蛋白であるE6/E7の機能とHPV感染細胞に対する細胞免疫が重要な鍵を握っている.HPV感染は子宮頸がん発生の必要条件で,感染を予防することで子宮頸がん征圧が期待できる.

4.子宮頸がん予防HPVワクチンの医療経済

著者: 今野良

ページ範囲:P.257 - P.267

はじめに

 新規の医療技術導入は,公衆衛生の観点から必須である.しかし,新規の技術が導入されることで保健医療の現場では質の向上が期待されるものの,新規の技術は従来の技術に比べて高価な場合が多く,政策決定者の立場からは必ずしも無条件に採択されるものではない.公衆衛生上,ワクチンや検診といった予防医療を導入することで無駄な医療費支出を抑え,さらに疾病発生による労働損失も抑え,間接的には社会保障費の歳入減を抑えることが期待されている1, 2).子宮頸がんによる直接費用は最低に見積もっても年間約30億円と推計され3),そのほかに検診に要する費用や間接費用も含めると医療財政に大きな負担を与えていることが窺える.このような現状や今後患者数が増えると推計されていることを踏まえると,ワクチンの医療経済評価は,新規ワクチンに公的な医療財源から資源配分するかどうか意思決定をするために重要な判断材料となる.しかし,これまで子宮頸がん予防を目的としたワクチンの経済評価は,日本においてはなかった.本稿では,基礎的な用語の解説を含めて,子宮頸がん予防HPV(human papillomavirus)ワクチン(以下,HPVワクチン)の医療経済について概説する.

5.内科医,小児科医にも知って欲しい子宮頸がん検診とHPVの基礎知識

著者: 鈴木光明 ,   藤原寛行 ,   竹井裕二

ページ範囲:P.268 - P.275

はじめに

 子宮頸がんは早期発見が可能ながんであることは広く知られている.早期診断には細胞診が有用であり,わが国においては1960年代からこれを用いた行政による子宮頸がん検診がスタートし,1983年施行の老人保健法により制度化され,集団検診が全国的に展開されるようになった.また,1980年代には子宮頸がんの発症にヒトパピローマウイルス(human papillomavirus : HPV)の感染が関与していることが明らかとなった1).その後,2000年初頭にはハイリスク型HPVの感染を予防するワクチンが開発され,2つの製薬企業によって製品化され,2006年から世界各国で広く接種されるようになった.予防ワクチンの登場により,子宮頸がんは一次予防が可能となり,細胞診を用いたがん検診による二次予防と二本柱が完成し,今や「子宮頸がんは予防できるがん」となった.産婦人科医だけでなく,他科の医師にも子宮がん検診とHPVについて理解を深めていただくことを目的に解説する.

6.HPVワクチンの将来

著者: 近藤一成

ページ範囲:P.277 - P.281

はじめに

 子宮頸がんは早期に発見し治療することによって治癒する疾患と考えられている.30年以上にわたって,子宮頸がんの予防は二次予防である細胞診スクリーニングによって行われてきた.いわゆる子宮頸がん検診だが,先進国において高い評価を得て罹患率の低下に寄与してきた.2006年には,Gardasil(R)やCervarix(R)という発がんに最も関連性の高い16, 18型に対するHPV(human papillomavirus)ワクチンを用いる一次予防が導入されるようになった.これからの子宮頸がん予防はHPVワクチンを基本とした方法がメインになると思われる.しかし,現行ワクチンが標的にしていない発がん性HPVの感染予防や,既感染者や細胞診異常者に対する治療方法についてはまだ解決されていない.よって,有望な一次予防法を得ることはできたが,従来の細胞診による二次予防も継続しなければならない.そこで,本稿では幅広い型に有効な予防ワクチン開発や既感染者,細胞診異常者に対する治療の展望について概説する.

子宮頸がん検診―普及をめざして

1.20,30歳台で子宮頸がんが増えている

著者: 藏本博行 ,   角田新平

ページ範囲:P.282 - P.287

はじめに

 がん年齢は40歳からといわれる.つまり,40歳からがんに罹患する頻度が増加するのが一般であることから当てはめられた言葉であろう.たしかに,胃がんや肺がんではこれに該当するといえる.一方,20,30歳台といえば青春時代であって,がんに罹患するかも知れないと考える人はこの年齢層にはほとんどいないであろう.残念ながら,子宮頸がんに関しては,どうやらこの年代に増加しているようなのである.

 ここでは,子宮頸がん発生の年齢的特徴の今昔を,ほかのがん腫とも比較しながら検討し,果たして20,30歳台で増加しているかどうかを検証してみることにしたい.

 これらの特徴の検証から,子宮頸がん検診受診を勧奨すべき年齢層への資料となれば,幸いである.

2.子宮頸がん検診受診率向上への取り組み―日本初の細胞診・HPV検査併用検診で受診率向上・高精度化・効率化達成

著者: 岩成治

ページ範囲:P.288 - P.297

はじめに

 子宮頸がんは,原因・自然史・診断・早期治療法・予防ワクチンが確立され,予防・征圧可能な唯一のがん種となった.これを受け,日本以外の検診先進諸国は,子宮頸がん検診(以下,検診)の目標を死亡率低下ではなく子宮がん予防におき,妊孕能温存可能なCIN2,3検出を目的としている.また,費用対効果を常に考慮しながら改良に改良を加え,受診率80%以上(対象年齢は20~69歳までさまざま)を維持して検診の効果を発揮している.

 細胞診・HPV検査併用検診(以下,併用検診)を実施している国々では,受診間隔を3~5年に延長している(表1).また,細胞診も液状検体,ブラシ採取,ベセスダシステムなどの改良を加え,精度管理に努力している1)

 それに比較し,以前は検診先進国であったわが国であるが,今まで,がん登録で検診を検証することもせず,旧態依然とした検診体制に甘んじてきたため,受診率・受診内容・精度・効率ともに悪く,検診機能不全に陥ってしまっている.

 島根県でも同じ状態であったため,何とかしなくてはという思いから,受診率向上・高精度化・効率化をめざして,国内で初めてHPV併用検診を行った.島根県モデル事業として,出雲市・斐川町の行政検診で施行したところ,予想以上に効果を認めたので報告する.

3.細胞診の判定方法と新しい記載―ベセスダシステム2001細胞診報告様式の実際

著者: 平井康夫

ページ範囲:P.299 - P.303

子宮頸がん征圧を目指す細胞診の進歩

 子宮頸がん検診に使われる細胞診は,日本にHPV(human papillomavirus)ワクチンが登場する以前から,より予防を目指すための精度を保証する方策を積み重ね進歩してきた.

 まず,検診に使われる子宮頸部細胞診の結果報告が,従来の日母のクラス分類から欧米で一般化しているベセスダシステムへと変更された.これは,検診で採取された細胞標本のうち出来映えのよくないものを排除して,誤診の原因を除いたり,結果を病理診断と照らし合わせてその精度を評価しやすくするなど,細胞診の精度向上に役立っている.

4.子宮頸がん検診におけるHPV検査の位置づけ

著者: 井上正樹

ページ範囲:P.304 - P.309

子宮がん検診の現状

 わが国においては1982年の老人保健法制定により全国的に開始された細胞診による子宮頸がん検診は,子宮がんの発生率の低下のみならず日本にがん検診を定着させた指導的役割はきわめて大きい.厚労省も「検診による死亡率減少化効果がある」と評価した.しかし,国の政策転換によりがん検診事業は1998年4月からは地方行政の任意事業となった.さらに,2003年4月には「がん予防重点健康教育およびがん検診実施のための指針」で検診間隔を2年とし,検診の開始年齢を20歳とした.このような状況のなかで,わが国の子宮がん検診は以下のような課題を抱えている.

(1)検診受診率が20%前後と低迷している.特に新規の受診者や20代の受診者がきわめて少ない状況が続いている.

(2)検診の精度管理が求められている.

(3)子宮頸部がんの発生率は検診導入以来着実に低下してきたが,最近では生殖年齢層に罹患率・死亡数が増加している.

(4)HPVワクチンが認可された現在は,一層の子宮頸がんに対する啓発と科学的・合理的でかつ日本に適した検診システムの構築が求められている.

5.子宮頸部腺がん検診の注意点

著者: 岩坂剛

ページ範囲:P.310 - P.313

はじめに

 細胞診の歴史のなかでは,子宮頸部細胞診は最も古くから行われてきたものであり,また現在最も進んでいる分野でもある.なかでも扁平上皮系の病変の診断では,がんのみならず,前がん病変における診断基準が確立されており,これまで子宮頸部病変の早期診断,早期治療に多大な貢献をしてきた.一方,頸部腺がんを含めた腺系病変についても,扁平上皮がんと同様の努力がなされてきたが,その初期病変の病態についてはいまだ不明な部分が多く,扁平上皮系病変の診断ほど容易ではないというのが実状である.

 本稿では,腺系病変の検出が困難な理由,さらにその解決策について考察する.

6.HPV感染はSTDではない

著者: 中原健次 ,   須藤毅 ,   倉智博久

ページ範囲:P.314 - P.317

STD・STIとは

 STD(sexually transmitted disease)は,すでにわれわれには馴染みの用語であり,表1のような疾患が挙げられる.歴史的な性病(venereal disease : VD)を含んで以前は一時的に「性行為感染症」と呼ばれていたが,物議を醸して現在では「性感染症」となっている.近年では,STD以外にSTI(sexually transmitted infection)なる用語も出てきているため,まず用語と内容の整理をしてみたい.

 日本産科婦人科学会編,産科婦人科用語集・用語解説集(改訂第2版,2008年3月)1)によれば,性感染症としてsexually transmitted disease(STD)とsexually transmitted infection(STI)とひとくくりに提示しており,区別はしていない.その内容は,「異性あるいは同性間の性交あるいは性交類似行為によって感染する疾患は性病(梅毒,淋病,軟性下疳,鼠径リンパ肉芽腫症)のほかにも多数あり,それらを総称して性感染症と呼ぶ.ウイルスによるものには性器ヘルペス,尖圭コンジローマ,伝染性軟属腫,B型肝炎,サイトメガロウイルス感染症,伝染性単核症,後天性免疫不全症候群(AIDS)などが,クラミジアによるものには子宮頸管炎,非淋菌性尿道炎,骨盤内感染症が,真菌によるものには外陰・腟カンジダ症が,原虫によるものには疥癬,毛じらみ症などがある.性感染症には,性器に病変をもたらすものと,性器は単なる感染性微生物の侵入門戸で他臓器に疾患をもたらすものがある」である.

連載 産婦人科PET 何を考えるか?・11

鎖骨上窩,腹部リンパ節転移を伴う骨盤内腫瘍

著者: 岡村光英

ページ範囲:P.237 - P.240

 43歳女性.左鎖骨上窩の腫脹に気づき外科受診,針生検にて腺癌と診断された.原発巣検索のため全身造影CTを施行した.骨盤内にて子宮の腹側に7.5×6×7cm大の腫瘤および傍大動脈リンパ節腫大,腹水が認められたため,産婦人科を紹介された.白色帯下以外,自覚症状なし.CA 125 : 196U/ml(正常値34.0以下)と高値を示したが,CEA : 0.5ng/ml,CA19-9 : 5U/mlは正常値であった.骨盤内腫瘤の精査目的にて造影MRIを施行し,卵巣癌が疑われ,全身の転移巣検索のためFDG PET/CTが施行された.

 既往歴に特記事項なし.

教訓的症例から学ぶ産婦人科診療のピットフォール・52

悪性卵巣腫瘍との鑑別が困難であった小腸GISTの1例

著者: 晴山仁志 ,   羽田健一 ,   川西康之 ,   箱山聖子 ,   伊藤公美子 ,   内田亜紀子 ,   三澤一仁

ページ範囲:P.320 - P.324

症 例

■患者 64歳,2経妊2経産

■主訴 下腹部痛

■既往歴 虚血性心疾患,不整脈

■月経歴 初経14歳,閉経48歳

■現病歴

 2002年2月,下腹部痛を主訴に近医内科を受診.骨盤内腫瘍を指摘され,近医産婦人科を経て,卵巣悪性腫瘍の疑いで,2002年3月中旬当科へ初診した.

病院めぐり

高松市民病院

著者: 大野義雄

ページ範囲:P.325 - P.325

 高松市民病院は,明治26年高松市公立病院としてはじまり,昭和28年市立旭ヶ丘病院(100床)となり,昭和41年4月より高松市民病院と改称しスタートいたしました.現在は,19の診療科をもち,417床,医師数42人を有する高松市の基幹病院の1つです.

 香川県は日本一狭い県であり,高速道路,一般道路もよく整備されており,病院間のネットワークも問題ありません.

サクラの国のインドネシア・7

「負ける」と「頑張る」

著者: 東梅久子

ページ範囲:P.326 - P.327

新年の感覚

 年末にあるインドネシア人看護師を誘った.12月31日の夕方なら空いているという.いかにもインドネシア人らしい.大晦日の夕方に人に会おうという日本人は多くないであろう.12月31日の夜,インドネシアではおもちゃのラッパの音がけたたましく響き渡り,あちこちで花火が上がる.神聖な日本のお正月と違って,年越しはお祭り騒ぎである.

 国民のおよそ9割がイスラム教徒のインドネシアで日本のお正月に当たるのは,イスラム教の断食明けである.断食明けが近づくと日本の年末と同じように大移動が始まり,大きな荷物を抱えた人たちで交通機関は混雑する.当然ながら事故も増え,ニュースに「犠牲者」の言葉がない日はない.貧しい人たちに配られる現金などを目指して人が押しかけ,将棋倒しになっても「犠牲者」が出る.断食明けを個人的には「犠牲者」という言葉とともに思い出す.

原著

帝王切開手術における新しい創被覆材の使用経験

著者: 中山毅 ,   石橋武蔵

ページ範囲:P.329 - P.333

 ラッププロテクターTM(八光メディカル)は,弾力のある円形リングを上下にもつシリコーン製の創被覆材である.帝王切開の開創器の役割および創保護を目的とした製品が開発されている.

 今回帝王切開時に,新たに開発されたラッププロテクターを使用した.術野は楕円形で十分に広く,助手の介助は必要とせずに,腹膜や子宮筋層を切開し,児を娩出することができた.術野が良好であるため,児の娩出,子宮筋層の縫合や癒着予防剤の貼付が非常に容易であった.Pfannenstiel切開時に下部リングが一部脱出してしまうことがあり,さらなる改良が望まれた.特に,人手が少ないなかでの緊急帝王切開時や,子宮内感染から創部感染のリスクが高い帝王切開では,ラッププロテクターを使用することが有用ではないかと考えられた.

症例

大量のオピオイドを使用し疼痛コントロールに難渋した子宮頸部小細胞癌の1例

著者: 高橋也尚 ,   森山政司 ,   岩成治

ページ範囲:P.335 - P.339

 26歳という若年の子宮頸癌の症例.比較的稀な組織型である小細胞癌で,術後の化学療法は無効であり,短期間に再発傾向がみられた.メインの再発部位である膵周囲における癌性疼痛コントロールに関して,短期間にフェンタニルパッチおよび塩酸モルヒネの併用を開始し,MSコンチン(R)換算量にすると4,320mg/日程度の量となり,疼痛コントロールに苦慮した.

 オピオイドの使用量はさまざまであるが,経口モルヒネの1日投与量180mg以下で87%は除痛可能との報告がある.一方,鎮痛をはかるためのオピオイド投与量の上限はなく,高容量のオピオイド使用例がさまざま報告されている.

 オピオイド以外の除痛方法として,膵臓周囲に関しては神経ブロックが有用との報告があり,文献学的考察を加えて報告する.

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編集後記

著者: 倉智博久

ページ範囲:P.350 - P.350

 渡辺謙が主演した映画「沈まぬ太陽」を見ました.山崎豊子の小説は,「不毛地帯」,「白い巨塔」など,社会性豊かで,重厚かつ時代とその背景を抉るような内容のものが多いのですが,この映画も見ごたえのあるものでした.最近の,2,000億円以上もの借入金が必要であるというJALの経営状況の深刻さを考えると,また一段と見ごたえのある映画に仕上がっていました.映画の最後の画面の,ケニアの自然,野生動物の存在感は圧倒的で,人間の営みの矮小さを心から思い知らされ感激しました.

 私は,あのJALの事故で親戚を亡くしたのですが,ちょうど米国に留学中で,まったく日本国内の報道にも接していませんでした.映画を見てあの事故の深刻さ,実情と真実を改めて知りました.500人以上もの遺体が並べられた現場のすさまじさ,それを前にした家族の嘆きと怒り,あのような場面では加害者側であった日本航空側の心境もいかばかりかと思います.

基本情報

臨床婦人科産科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1294

印刷版ISSN 0386-9865

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今月の臨床 最新! 婦人科がん薬物療法─化学療法薬から分子標的薬・免疫療法薬まで

71巻9号(2017年9月発行)

今月の臨床 着床不全・流産をいかに防ぐか─PGS時代の不妊・不育症診療ストラテジー

71巻8号(2017年8月発行)

今月の臨床 「産婦人科診療ガイドライン─産科編 2017」の新規項目と改正点

71巻7号(2017年7月発行)

今月の臨床 若年女性のスポーツ障害へのトータルヘルスケア─こんなときどうする?

71巻6号(2017年6月発行)

今月の臨床 周産期メンタルヘルスケアの最前線─ハイリスク妊産婦管理加算を見据えた対応をめざして

71巻5号(2017年5月発行)

今月の臨床 万能幹細胞・幹細胞とゲノム編集─再生医療の進歩が医療を変える

71巻4号(2017年4月発行)

増刊号 産婦人科画像診断トレーニング─この所見をどう読むか?

71巻3号(2017年4月発行)

今月の臨床 婦人科がん低侵襲治療の現状と展望〈特別付録web動画〉

71巻2号(2017年3月発行)

今月の臨床 産科麻酔パーフェクトガイド

71巻1号(2017年1月発行)

合併増大号 今月の臨床 性ステロイドホルモン研究の最前線と臨床応用

69巻12号(2015年12月発行)

今月の臨床 婦人科がん診療を支えるトータルマネジメント─各領域のエキスパートに聞く

69巻11号(2015年11月発行)

今月の臨床 婦人科腹腔鏡手術の進歩と“落とし穴”

69巻10号(2015年10月発行)

今月の臨床 婦人科疾患の妊娠・産褥期マネジメント

69巻9号(2015年9月発行)

今月の臨床 がん妊孕性温存治療の適応と注意点─腫瘍学と生殖医学の接点

69巻8号(2015年8月発行)

今月の臨床 体外受精治療の行方─問題点と将来展望

69巻7号(2015年7月発行)

今月の臨床 専攻医必読─基礎から学ぶ周産期超音波診断のポイント

69巻6号(2015年6月発行)

今月の臨床 産婦人科医必読─乳がん予防と検診Up to date

69巻5号(2015年5月発行)

今月の臨床 月経異常・不妊症の診断力を磨く

69巻4号(2015年4月発行)

増刊号 妊婦健診のすべて─週数別・大事なことを見逃さないためのチェックポイント

69巻3号(2015年4月発行)

今月の臨床 早産の予知・予防の新たな展開

69巻2号(2015年3月発行)

今月の臨床 総合診療における産婦人科医の役割─あらゆるライフステージにある女性へのヘルスケア

69巻1号(2015年1月発行)

今月の臨床 ゲノム時代の婦人科がん診療を展望する─がんの個性に応じたpersonalizationへの道

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