icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科64巻3号

2010年03月発行

文献概要

今月の臨床 子宮頸がんの予防戦略―ワクチンと検診 子宮頸がん検診―普及をめざして

6.HPV感染はSTDではない

著者: 中原健次1 須藤毅1 倉智博久1

所属機関: 1山形大学医学部産科婦人科学講座

ページ範囲:P.314 - P.317

文献購入ページに移動
STD・STIとは

 STD(sexually transmitted disease)は,すでにわれわれには馴染みの用語であり,表1のような疾患が挙げられる.歴史的な性病(venereal disease : VD)を含んで以前は一時的に「性行為感染症」と呼ばれていたが,物議を醸して現在では「性感染症」となっている.近年では,STD以外にSTI(sexually transmitted infection)なる用語も出てきているため,まず用語と内容の整理をしてみたい.

 日本産科婦人科学会編,産科婦人科用語集・用語解説集(改訂第2版,2008年3月)1)によれば,性感染症としてsexually transmitted disease(STD)とsexually transmitted infection(STI)とひとくくりに提示しており,区別はしていない.その内容は,「異性あるいは同性間の性交あるいは性交類似行為によって感染する疾患は性病(梅毒,淋病,軟性下疳,鼠径リンパ肉芽腫症)のほかにも多数あり,それらを総称して性感染症と呼ぶ.ウイルスによるものには性器ヘルペス,尖圭コンジローマ,伝染性軟属腫,B型肝炎,サイトメガロウイルス感染症,伝染性単核症,後天性免疫不全症候群(AIDS)などが,クラミジアによるものには子宮頸管炎,非淋菌性尿道炎,骨盤内感染症が,真菌によるものには外陰・腟カンジダ症が,原虫によるものには疥癬,毛じらみ症などがある.性感染症には,性器に病変をもたらすものと,性器は単なる感染性微生物の侵入門戸で他臓器に疾患をもたらすものがある」である.

参考文献

1)日本産科婦人科学会(編): 産科婦人科用語集・用語解説集 改訂第2版,金原出版,2008
2)安元慎一郎 : STDの種類.STD(性感染症)アトラス(安元慎一郎 編).pp17-19,秀潤社,2008
3)本田まりこ : 皮膚科Q&A : 第24回 : 性感染症(sexually transmitted infection, STI)http://www.dermatol.or.jp/Q&A/sti/q01.html
4)今野 良 : 子宮頸癌(1)HPV持続感染で高度異形成から浸潤癌に進行.MMJ 5 : 244-245,2009
5)井上正樹 : 高リスク型HPV感染と子宮頸がん.Medical ASAHI 38 : 76-79,2008
6)笹川寿之 : 尖圭コンジローマ5.HPV感染と子宮頸癌.STD(性感染症)アトラス(安元慎一郎編).pp106-107,秀潤社,2008
7)田中百合子,他 : 子宮頸部異形成の消退・持続・進行予測に関する細胞学的検討.日臨細胞会誌47(Suppl 2): 538,2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?