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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科64巻3号

2010年03月発行

連載 サクラの国のインドネシア・7

「負ける」と「頑張る」

著者: 東梅久子1

所属機関: 1虎の門病院産婦人科

ページ範囲:P.326 - P.327

文献概要

新年の感覚

 年末にあるインドネシア人看護師を誘った.12月31日の夕方なら空いているという.いかにもインドネシア人らしい.大晦日の夕方に人に会おうという日本人は多くないであろう.12月31日の夜,インドネシアではおもちゃのラッパの音がけたたましく響き渡り,あちこちで花火が上がる.神聖な日本のお正月と違って,年越しはお祭り騒ぎである.

 国民のおよそ9割がイスラム教徒のインドネシアで日本のお正月に当たるのは,イスラム教の断食明けである.断食明けが近づくと日本の年末と同じように大移動が始まり,大きな荷物を抱えた人たちで交通機関は混雑する.当然ながら事故も増え,ニュースに「犠牲者」の言葉がない日はない.貧しい人たちに配られる現金などを目指して人が押しかけ,将棋倒しになっても「犠牲者」が出る.断食明けを個人的には「犠牲者」という言葉とともに思い出す.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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