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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科64巻3号

2010年03月発行

症例

大量のオピオイドを使用し疼痛コントロールに難渋した子宮頸部小細胞癌の1例

著者: 高橋也尚1 森山政司1 岩成治1

所属機関: 1島根県立中央病院産婦人科

ページ範囲:P.335 - P.339

文献概要

 26歳という若年の子宮頸癌の症例.比較的稀な組織型である小細胞癌で,術後の化学療法は無効であり,短期間に再発傾向がみられた.メインの再発部位である膵周囲における癌性疼痛コントロールに関して,短期間にフェンタニルパッチおよび塩酸モルヒネの併用を開始し,MSコンチン(R)換算量にすると4,320mg/日程度の量となり,疼痛コントロールに苦慮した.

 オピオイドの使用量はさまざまであるが,経口モルヒネの1日投与量180mg以下で87%は除痛可能との報告がある.一方,鎮痛をはかるためのオピオイド投与量の上限はなく,高容量のオピオイド使用例がさまざま報告されている.

 オピオイド以外の除痛方法として,膵臓周囲に関しては神経ブロックが有用との報告があり,文献学的考察を加えて報告する.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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