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雑誌目次

雑誌文献

臨床婦人科産科64巻4号

2010年04月発行

雑誌目次

今月の臨床 これを読めばすべてわかる―最新の産婦人科超音波診断 I 超音波検査法の基礎知識

超音波の基礎

著者: 遠藤信行

ページ範囲:P.360 - P.364

 近年,画像診断に欠かせない検査法の1つとして,超音波診断法が確立している.特に,産科・婦人科の領域では必要欠くべからざる検査法として広く認知されている.さらに,腹部領域などでは,診断だけでなく治療に超音波を用いる研究・応用が盛んに報告されるようになった.ここでは,超音波カラードプラ断層像法,ハーモニックイメージに代表される生体診断と,超音波温熱療法やマイクロバブルを用いるドラッグデリバリーシステムなどの治療応用について理解を深めるために,超音波(音波)の基礎的なことがらについて考える.

超音波断層法の原理

著者: 遠藤信行

ページ範囲:P.365 - P.369

パルスエコー法の原理

 超音波パルスエコー法は,1μs程度の短い音波パルスを体内に放射し,臓器などからのエコーの伝搬時間(time of flight : TOF),振幅や周波数偏移などから,生体内の情報を得る方法である.

 衝撃的に時間変化する送信用電気パルスを探触子中の超音波振動子に印加すると,振動子は電気エネルギーを超音波パルスに変換する.生体に探触子を密着させると,探触子のメインローブの方向に超音波が放射され,生体中を伝搬して行く.その伝搬経路上にある組織の境界面や臓器内散乱体からの反射エコーは逆の経路を通って探触子に戻って行く.一方,超音波パルスの一部はさらに透過して伝搬し,音響エネルギーがなくなるまで透過・反射のプロセスを繰り返す.探触子に戻ってきた反射エコーは同じ超音波振動子で電気的パルス信号に変換され,画面に表示される.

超音波血流表示と血流速度計測の原理

著者: 佐藤昌司

ページ範囲:P.371 - P.375

 超音波ドプラ法は現在,電子スキャンの発達ともあいまって,ヒト胎児における非侵襲的な血流評価法として臨床の場に定着している.本法の原理について概説する.

3次元超音波の原理

著者: 馬場一憲

ページ範囲:P.376 - P.381

3次元超音波の変遷

 1986年にコンピュータによって画像を構築する3次元超音波1)が開発されたが,コンピュータの処理速度が不十分で1枚の画像を作るのに数分を要した.そのため,リアルタイム性を求めて,コンピュータを用いないで3次元像を作る拡散音響レンズ法2)やリアルタイム超音波ビームトレーシング法2)などの新しい方式の3次元超音波が開発され市場に出回るようになった.しかし,その後のコンピュータ処理速度の驚異的な高速化に伴い,現在ではコンピュータによって画像を構築する3次元超音波が主流となっている.

良質な画像の作成と正しい読影のための知識

著者: 馬場一憲

ページ範囲:P.382 - P.385

良質な画像を得るためのポイント

■スイッチ・つまみの調整

 図1に超音波診断装置の操作パネルの一例を示す.たくさんのスイッチやつまみがついているが,良質な画像を得るために少なくとも表1のスイッチやつまみの意味を知ったうえで適切に調整する必要がある.

 これらのスイッチやつまみの形状や位置はメーカや装置によって異なるが,一般的な装置には,これらすべてが搭載されている.

超音波の安全性に関する重要事項

著者: 遠藤信行

ページ範囲:P.386 - P.388

 内視鏡に代表される医療機器に要求される「電気的安全性」や「細菌学的な安全性」を考慮することが,超音波医療機器にも当然要求されるが,ここでは超音波診断・治療装置を使った場合に,主に音響エネルギーに関連して考慮すべき音響学的安全性について述べる.

 従来から安全といわれている超音波診断も,いわゆるALARA(as low as reasonably achievable)の原則に従って実施することが重要である.つまり,超音波診断のメリット・デメリットを理解し,高度な技量をもつ担当者が,必要な時間・回数だけ超音波診断を行うことが原則である.特に産科婦人科領域で,カラードプラ断層像法,ハーモニックイメージングやバブル造影剤を使用する診断時には,以下に記述するTI,MIなどの概念をよく理解し,障害などが発生しないように注意する必要がある.しかし,通常の診断では必要以上に心配することはない.

II 婦人科領域における超音波診断

骨盤内臓器の超音波解剖学

著者: 石原楷輔 ,   椎津敏明 ,   西原富次郎

ページ範囲:P.390 - P.399

骨盤内臓器の超音波解剖学

 骨盤内臓器の超音波観察法には大別して経腹,経腟,経直腸,経会陰の各走査法がある.必要に応じカラードプラ法,sonohysterography,超音波造影法,三次元表示法が併用されるが,日常診療では通常,経腟走査法が用いられる.経腟法は腟円蓋を介し臓器に近接し観察できるため再現性の高い画像が得られることから,いわゆるin vivoにおける超音波解剖学(形態学)が可能になったと言えよう.しかし,実際には機器の精度,検者の画像描出技術や読影力などには格差があるのも事実である.したがって,常に検出画像と解剖学を摺り合わせ検討する習慣を身につけ,正確な読影力を養うことが大切である.

3次元超音波の応用

著者: 伊藤真友子 ,   関谷隆夫 ,   宇田川康博

ページ範囲:P.505 - P.511

3次元超音波検査とその意義

■3次元法の基礎

 婦人科超音波検査は,内診とともに一般外来診療における基本的診察法の一翼を担うようになり,一般臨床においては,通常の2次法を用いた断面像による形態評価とドプラ法による血流の分布とキャラクターの評価ができれば,何ら問題はない.しかしながら,これまでの画像は検者自身によるプローブ走査による任意の2次元断面像であり,走査面やデータ量についての限界があった.一方,超音波診断装置にかかわるソフト/ハード面における医工学技術の進歩は,3次元立体画像の作像を可能とし,現在では,超音波検査で得られる生体情報(3次元データセット)から任意の画像を構築して活用する,新しい多次元画像診断ツールとして捉えられるようになった.これまでいわゆる3次元超音波検査に関しては,技術的進歩と臨床的ニーズの過程の中で多くの方法が試行されてきたが,ここでは最も一般的な原理と作像法を示す(図1)1~4)

[子宮疾患の超音波診断]

1.子宮奇形

著者: 赤松信雄

ページ範囲:P.400 - P.402

 子宮には種々の奇形があり,0.1~1%の頻度であるといわれている.それらの多くは,(1)子宮筋腫などの内性器腫瘍との鑑別が必要である.また,(2)不妊症や不育症の原因となるために妊娠が可能か,妊娠の継続が可能かとの観点からの非妊時や妊娠初期の評価が必要である.さらに,(3)異所性妊娠の局在となることもあり,それらと子宮内妊娠との鑑別診断上も重要である.

 種々の子宮奇形を図1に示す1).重複子宮,双角双頸子宮,双角単頸子宮,完全中隔子宮,不全中隔子宮は(1),(2),痕跡副角を伴う単角単頸子宮は,(1),(2),(3),単角単頸子宮は(2)を評価することが,子宮奇形の種類を評価することとともに肝要である.これら以外にも弓状子宮,子宮発育不全ないしは欠損などが知られている.

2.子宮筋腫

著者: 赤松信雄

ページ範囲:P.403 - P.406

 超音波ビームが腫瘤内を通過する間に卵巣嚢腫と比べて子宮筋腫では減衰が大きい1~3).したがって,前者では後面エコー (底面エコー)の増強が起こり,後者では後面エコーの減弱や後方エコーに減弱や音響陰影が起こる(図1).底面エコーをみることで腫瘤内部の性状を推測できることがある.また,子宮筋腫の内部は均質で,血管なども少ないために超音波の反射が起こりにくく,子宮筋層よりも内部エコーが低い.内部エコーの均質性でも腫瘤内部の性状が推測できる.

 ところで,正常内性器の超音波像を正確に知り,正常像との違いを認識することが腫瘍診断の第一歩である.正常像では,腟に続く子宮頸部は3×2.5×3cm前後の充実性エコーを示す4).子宮頸部に続く子宮体部の過半数は前屈しているが,後屈しているものも4割近くある.子宮体部は5×3.5×4cm前後の充実性パターンを示すが,その中央に高エコーの内膜像を有することが多い.

3.子宮腺筋症

著者: 赤松信雄

ページ範囲:P.408 - P.411

 子宮腺筋症は40歳代に好発し,月経困難症,骨盤痛,過多月経などへの対応が難しいことも多い疾患である.根治的な治療は子宮全摘であるが,閉経前では手術以外の治療で軽快できないかと考える.不妊症では妊娠しやすく,流産しにくくできないかを考えるし,妊娠に合併していれば流早産がなおさら心配である.また,子宮内膜症,子宮筋腫に合併することが多く,そのことが診断,治療に影響する.

4.子宮内膜良性病変

著者: 木下孝一 ,   関谷隆夫 ,   宇田川康博

ページ範囲:P.412 - P.419

子宮内膜良性病変とは

 思春期以降,卵巣よりエストラジオールが分泌されるようになると,子宮は増大し,子宮内膜も肥厚する.その後月経が発来し,子宮内膜の増殖・分泌・剥離が繰り返され,更年期以降は排卵が消失し,閉経を迎えると子宮は萎縮して内膜も菲薄化する.こうした過程のなかで,ホルモン分泌や感受性の異常に伴う子宮内膜異常・子宮内膜剥奪不全・腫瘍などが発生する.このうち,悪性腫瘍を除き,子宮内膜の形態に異常をきたすミュラー管発生異常を加えた疾患群が,臨床的な子宮内膜良性病変といえよう1)

5.子宮内膜悪性病変―内膜増殖症,内膜癌

著者: 石井梨沙 ,   関谷隆夫 ,   宇田川康博

ページ範囲:P.420 - P.430

子宮内膜悪性病変とは

 子宮内膜に異常をきたす病変のうち,明らかに良性病変として分類される子宮内膜ポリープやミュラー管発生異常については前稿で述べた.こうした病変以外には,いわゆる良性病変の範疇を超えてフォローを必要とし,臨床的に悪性との境界病変として取り扱うべき子宮内膜増殖症と,悪性腫瘍としての子宮体癌があり,本稿では.これらを子宮内膜悪性病変(境界を含む)として解説する.

 本症の確定診断は組織検査がgold standardであることに異論はないが,初診時を含めた診断の過程で,腟鏡診と双合診の次に行うのが超音波検査である.特に双合診は,骨盤内臓器の大きさや硬度,可動性,痛みの程度を評価するのに有用であるが,定量的な評価や臓器内部の状態を把握するには画像診断のほうが優れている.このうち超音波検査は非侵襲的で簡単かつ経済的な理由で他の診断法を凌駕する.本法で子宮を観察すると,ほとんどの症例でその中央部に子宮内膜像が描写され,子宮内膜悪性病変ではその画像が変化することから良い適応となる.また,悪性腫瘍は血管新生が盛んで血流に富むことから超音波ドプラ検査の対象としても適している1, 2)

6.子宮頸癌

著者: 宮本強 ,   塩沢丹里

ページ範囲:P.431 - P.433

 本稿では肉眼的病変となるIb期以上の頸癌症例の観察上のポイントについて記載する.リンパ節転移については他稿に譲る.

7.子宮肉腫

著者: 宮本強 ,   塩沢丹里

ページ範囲:P.435 - P.437

 臨床的に重要な子宮肉腫としては平滑筋肉腫,子宮内膜間質肉腫,癌肉腫が挙げられる.平滑筋肉腫や子宮内膜間質肉腫は子宮筋層内に筋腫様腫瘤を形成するため,平滑筋腫との鑑別が最も重要となる.

8.絨毛性疾患

著者: 香川秀之

ページ範囲:P.438 - P.441

 絨毛性疾患とは,絨毛性疾患取り扱い規約によれば,胞状奇胎,絨毛癌,胎盤部トロホブラスト腫瘍(placental site trophoblastic tumor : PSTT)ならびに存続絨毛症の総称であり,臨床的には表1のように分類される.超音波検査は,特に胞状奇胎の診断に非常に有用とされてきたが,近年,経腟超音波断層法をはじめとした超音波機器の性能の向上と,より早期から妊娠の診断がなされるようになったことから,従来の概念に捉われない胞状奇胎の超音波診断が求められている.

[付属器疾患の超音波診断]

1.卵巣機能性腫瘤

著者: 小林浩一 ,   手塚真紀 ,   坂巻健

ページ範囲:P.442 - P.445

 卵巣機能性腫瘤には,排卵誘発剤の使用による卵巣過剰刺激症候群(ovarian hyperstimulation syndrome : OHSS),あるいは,多嚢胞卵巣症候群(polycystic ovary syndrome : PCOS),妊娠初期のいわゆるルテイン嚢胞や,さらに骨盤内癒着を原因とするperitoneal inclusion cyst(pseudocyst),黄体期にみられる出血性黄体嚢胞などが挙げられる.OHSSでは多数の黄体嚢胞の集合により両側性,多嚢胞性に腫大した卵巣と腹水がみられるのが特徴である.PCOSでは卵巣にネックレスサインと呼ばれる多数の小嚢胞が認められるのが特徴であるが,画像診断だけではホルモン異常のない症例も多くみられ,総合的な診断の補助的な位置づけである.ルテイン嚢胞は,漿液性嚢胞腺腫などの卵巣嚢腫合併妊娠との鑑別が問題となる.ルテイン嚢胞の場合,ほとんどが妊娠12~14週以降は縮小傾向を示すので経過観察が必要となる.Pseudocystは,開腹手術や子宮内膜症,骨盤内感染症,さらに炎症性腸疾患などによる骨盤内癒着のために生じた閉鎖腔に腹水が貯留して嚢胞状を呈するものである.出血性黄体嚢胞は,腫瘤の内容が血液であるため子宮内膜症性嚢胞との鑑別が問題となる.多くの出血性黄体嚢胞では,子宮内膜症性嚢胞に比べ腫瘤内のエコーパターンが薄く糸を引くようなパターンを呈するのが特徴で,慣れてくると両者の鑑別は比較的容易なことが多いが,ときに鑑別困難な症例も存在するので注意が必要である.また,出血性黄体嚢胞の存在は,しばしば卵巣出血の原因となっていると考えられ,注意が必要である.

2.卵巣良性腫瘍

著者: 箕浦茂樹 ,   中西美紗緒

ページ範囲:P.446 - P.453

 良性腫瘍の多くは嚢胞性であるが,線維腫,莢膜細胞腫,ブレンナー腫瘍のように充実性腫瘍もある.卵巣には腫瘍性病変以外にも,貯留嚢胞がしばしばみられる.またときとして炎症性腫瘤がみられることもあり,卵巣腫瘍との鑑別を要する.ちなみに当科における良性卵巣腫瘍手術例306例の検討では,成熟奇形腫(100例,32.6%)と子宮内膜症性嚢胞(96例,32.2%)で全体の約3分の2を占めた.なお,成熟奇形腫の96.0%(96例)が成熟嚢胞性奇形腫であり,その他は成熟充実性奇形腫であった.次いで,粘液性胞腺腫が37例(12.0%),漿液性嚢胞腺腫が28例(9.1%)であった.このほかに,線維腫6例(1.9%),単純性嚢胞6例(1.9%),莢膜細胞腫3例(0.9%),卵巣甲状腺種2例(0.6%),傍卵巣嚢腫14例(4.5%),卵胞嚢胞7例(2.3%),黄体嚢胞4例(1.3%)であった1).また,腫瘍の大きさと良性・悪性との関係については,腫瘍の最大長径が15cmを超えると約半数が悪性もしくは境界悪性というデータもあり2),読影に注意を要する.

 最近は多くの病院でCTやMRIが比較的容易に撮れるようになり,特に研修病院ではややもすればそれらに頼りがちになるきらいがあるが,実際には超音波でほとんどの卵巣腫瘍は診断可能であり,できるだけ詳細に超音波所見を読み取る努力をすることが肝要である.

3.卵巣悪性診断

著者: 秦幸吉 ,   秦利之

ページ範囲:P.455 - P.465

 1980年代の後半から産婦人科領域に経腟走査法が導入されて以来,卵巣腫瘍の良悪性診断は飛躍的に向上してきた.そして超音波断層法,scoring system,超音波ドプラ法などによる良悪性診断が行われてきたが,どの診断法でもsensitivity,specificityにかなりのばらつきがあり,確立した診断法として臨床応用するには無理があった.最近では,診断の向上を目指して新たな診断法も試みられるようになってきた.

 本稿では,卵巣悪性腫瘍の超音波診断,つまり卵巣腫瘍の良悪性診断の最新情報について解説する.一部,前項の卵巣良性腫瘍診断とオバーラップする箇所もあるかもしれないが,お許しいただきたい.

4.付属器炎症性疾患

著者: 宮越敬 ,   古谷正敬 ,   浅田弘法 ,   田中守 ,   吉村𣳾典

ページ範囲:P.466 - P.469

 付属器炎症性疾患は骨盤腹膜炎の原因の1つであり,その診断に当たっては臨床所見に加え子宮付属器の超音波像にも留意することが肝要である.本稿では,付属器炎症性疾患の代表例として卵管留水・留膿症および付属器捻転における超音波所見を概説する.

[その他の骨盤病変,他領域疾患との鑑別]

1.Urogynecologyへの応用

著者: 小林浩一 ,   坂巻健

ページ範囲:P.470 - P.473

 性器脱と尿失禁,中でも腹圧性尿失禁(stress urinary incontinence : SUI)は妊娠・分娩と加齢が大きな要因となることが知られている.腹圧性尿失禁の病態は尿道の過可動と,内尿道括約筋不全に大きく分類されている(表1)1).通常の経腹走査用のプローブを会陰,あるいは陰唇の間に装置し,患者に腹圧をかけてもらうと尿道の可動性や,内尿道括約筋の様子は直接観察することができる.これにより,尿失禁のリスク評価を行うことができ,また性器脱の手術症例では,術後の状態の評価にも用いることができる.

 これまで尿失禁の検査法としては理学的検査としての腹圧ストレステスト,24時間や60分のパッドテスト,排尿日誌,Q tip testなどが知られており,また精密検査としては尿流動態検査により尿流測定や残尿測定,膀胱内圧測定やabdominal leak point pressure(ALPP)の測定などが行われてきた.膀胱内圧測定において膀胱の不随意の収縮が検出されれば切迫性尿失禁の存在を客観的に示すことになり,腹圧性尿失禁において尿道の過可動と内尿道括約筋不全という2つの病態の鑑別,および尿道抵抗低下の程度の評価にALPPが有用とされている2)

2.悪性腫瘍のリンパ節転移―術中超音波検査の有用性

著者: 梁栄治

ページ範囲:P.475 - P.479

 悪性腫瘍全般に共通することとして,婦人科悪性腫瘍においても,そのひろがりを評価することは重要である.評価する時期としては,概念的に,治療前,治療中,治療後があり,手術例においては,術前のステージング,手術によるステージング,治療後のフォローアップということになる.病変のひろがりの対象として,リンパ節転移の有無は基本的な項目の1つである.それぞれの評価時期において,リンパ節転移の有無を判断するために,超音波検査がどのような役割をもつ,あるいはもちうるかについて概説した.

3.腹水および類腫瘍疾患

著者: 田中善章

ページ範囲:P.480 - P.484

腹水

 腹水は生理的腹水,低蛋白血症や肝硬変に伴う病的腹水および癌進行に伴う癌性腹水に分類される.

 生理的腹水は約50~70 ml存在し1),子宮後面・直腸前面・ダグラス窩腹膜に囲まれたエコーフリースペースとして描出される(図1).非癌性腹水は無エコーで,腹腔内臓器の浮遊像1, 2)(図2)がみられる.癌性腹水では,腹水内に含まれる細胞成分や出血のために微細点状エコーがみられ,腹膜面における転移性充実部や大網転移(omental cake)(図3)を証明する.また進行例では腸管漿膜面転移のために拡張した大腸像など,イレウス所見を同時に証明することも多い.

4.鑑別を要する他臓器疾患

著者: 田中善章

ページ範囲:P.485 - P.490

 腹腔内や後腹膜腔には他臓器由来の疾患もあり,卵巣腫瘍などとの鑑別を要する場合が多い.また卵巣には他臓器癌の転移が多くみられ,その鑑別は重要である.以上についての疾患の要点について述べる.

[乳房疾患の超音波診断]

1.乳がん

著者: 植野映

ページ範囲:P.492 - P.497

腫瘤性病変

 乳癌は過去においては乳管から発生するものが乳管癌,小葉内から発生するものが小葉癌といわれてきたが,最近では,乳管癌は小葉内の細乳管から発生すると考えられるようになってきた.乳管癌も含めて乳癌の多くは小葉内から発生していると思われる.小葉内に発生した乳癌は乳管に沿って多層性に進展するが,乳管内では腫瘤は形成しないことが多い.浸潤能を獲得して基底膜を破壊して間質に浸潤すると腫瘤の形成に至る.この腫瘤が超音波では低エコー腫瘤として捉えられる.したがって腫瘤像を呈した乳癌は浸潤性となっていることが多い.

2.乳腺の良性疾患

著者: 植野映

ページ範囲:P.499 - P.503

 良性疾患にも乳管の異常を主体とする病変と小葉の病変を主体とするものがある.多くは,小葉内の病変で乳腺症,線維腺腫などがある.乳管内に発生するものとして乳管内乳頭腫,乳管拡張症などがある.

III 産科における超音波診断─妊娠初期

正常妊娠の超音波像

著者: 竹内久彌

ページ範囲:P.514 - P.517

 妊卵の断層像は妊娠のきわめて早期から描出が可能であり,週数単位で変化する妊卵・胎児の形態と大きさはとくに妊娠早期において描出・観察の意義がある.正常妊娠においてはその妊娠週数に相当した大きさないし形態を示す妊卵・胎児の超音波画像を観察できるはずと考えてよく,逆に,ある妊娠週数に相当する妊卵・胎児の形態や大きさを確認することで,その妊娠の妊娠週数を推定することが可能となる.

胎芽の発生・発達と超音波像

著者: 竹内久彌

ページ範囲:P.519 - P.521

 これまで発生学上の知識とされていた,胎芽の発生から発育・発達までを超音波断層法によって描出・観察が可能なことがわかり,超音波胎児発生学(sonoembryology)という概念が生まれ,さらに,その結果に基づく診断を日常診療において行うことが期待できることになった1, 2)

 超音波胎児発生学の知識に基づいて行われる胎芽・胎児の観察は一般的な観察に比べ,各臓器発生に即した観察法となるため,胎芽・胎児の発育状況をより精密,正確に把握でき,万一,異常が発生したときには早期に発見が可能である.

多胎妊娠の膜性診断

著者: 坂井昌人

ページ範囲:P.522 - P.525

 多胎の膜性診断を確実に行うには,妊娠10週以前の胎嚢像の観察が最も重要である.

稽留流産の診断

著者: 坂井昌人

ページ範囲:P.526 - P.529

 妊娠初期の流産の原因は後期の流産とは異なり,その多くが胎芽の異常であることが知られている.なかでも胎芽の染色体異常は流産例の50%以上(報告によっては70%)にみられるという.初期流産の大半は正常な胎芽の発育・生存がみられないものである.子宮内に胎嚢が確認された場合,その後に流産となるのは11.5%,卵黄嚢が認められれば8.5%,5mm以上の胎芽が認められれば7.2%,CRL6~10mmなら3.3%,CRL10mmを超えれば0.5%と妊娠進行の所見とともに流産の可能性は減少する1)

 稽留流産(missed abortion)とは本来,死亡した胎児などの流産組織が排出されずに子宮内に留まり,無症状のまま経過している状態を指す.現在は初期流産の状態である枯死卵(blighted ovum)または胎芽死亡(embryonic demise)を指す言葉として使われている.

異所性妊娠の診断

著者: 佐々木禎仁 ,   瀬戸佐和子 ,   千石一雄

ページ範囲:P.530 - P.535

 異所性妊娠は,受精卵着床部位の異常であり,全妊娠の1.5~2.0%に認められ,卵管妊娠が90%以上を占める1, 2, 3).異所性妊娠による母体死亡は減少傾向にはあるが,急性腹症,多量の腹腔内出血,出血性ショックをきたしうる代表的な産科救急疾患の1つである.

 異所性妊娠の超音波診断の一般的ポイントとして,(1)子宮外の胎嚢(GS)および胎芽像,(2)子宮内GSの欠如,(3)付属期部位の外妊性腫瘤像,(4)ダグラス窩の液体貯留像が挙げられる4).近年の画像診断,hCG測定法の進歩により,より早期で臨床症状が発現する前に診断,治療が可能となり,それに伴い保存的治療も選択肢として挙げられるようになってきている5, 6)

 本稿では代表的な症例を提示し,異所性妊娠の超音波診断法に関し概説する.

Nuchal Translucencyの計測と意義

著者: 増﨑英明

ページ範囲:P.537 - P.543

 妊娠初期に行う超音波検査の目的は,まずは子宮内の妊娠であることを確認し正しい予定日を確定することである.実際には,子宮内にいる胎児の生存を確認することで異所性妊娠を否定し,頭殿長の計測値から妊娠週数を確定する1).欧米では妊娠初期に,母体年齢,血清マーカー試験およびNuchal Translucency(以下,NTと略)の厚みなどによる多変量解析から染色体異常(主にダウン症)のスクリーニングが行われているが,わが国にはこのような明確なスクリーニングシステムは現時点では存在しない.ここでは欧米で行われている妊娠初期の染色体異常のスクリーニングについて解説し,わが国の現状との対比から,妊娠初期超音波検査の内包する問題について考察する.

妊娠初期の胎児形態異常

著者: 増﨑英明

ページ範囲:P.545 - P.549

 妊娠初期に行う超音波検査の目的は,まずは子宮内に生存した胎児が存在することの確認であり,ついで頭殿長や大横径の計測と,その計測値に基づく妊娠週数の確定である.多胎妊娠の際の膜性診断や付属器腫瘤の評価などがそれに継ぐ.胎児形態異常のスクリーニング検査は妊娠中期に行うが,一部の大奇形については,妊娠初期に偶発的に見つかることがある.ここでは妊娠初期に見つかることのある胎児形態異常について解説する.

妊娠初期の絨毛と臍帯の異常

著者: 長谷川潤一 ,   岡井崇

ページ範囲:P.550 - P.553

 妊婦健診中の臍帯・胎盤異常の超音波診断を徹底するためには,系統立てたスクリーニングを行うことが重要であると考える.近年,超音波の解像度の向上から種々の臍帯・胎盤異常の診断が可能となり,より多くの情報を妊娠の早い時期から知り得るようになった.しかし,正しい診断とリスク評価ができなければ患者に不安を与える一方となりかねない場合もある.本稿では,妊娠初期に描出される絨毛と臍帯を中心に,その異常所見や解釈について解説する.

3次元超音波の応用

著者: 秦利之

ページ範囲:P.554 - P.563

直行3断面表示(multiplanar view)

 直行3断面表示ではボリューム内の直行する3断面を同時に表示し,軸の回転・スライスにより任意断面の表示・計測が可能である.‘a’断面は通常のBモードと同じ断面を,‘b’断面はBモードと直行する断面を,‘c’断面はプローブ表面と平行の断面を表示する(図1).妊娠初期ではCRLの正確な計測や(図1),異所性妊娠の診断(図2)などに有用である.

IV 産科における超音波診断─妊娠中・後期

超音波ガイド下intervention

著者: 千葉喜英

ページ範囲:P.745 - P.749

羊水穿刺

■羊水穿刺の目的

 羊水染色体検査,胎内感染・絨毛羊膜炎の起炎菌の同定,羊水異常の管理,血液型不適合妊娠のΔOD 450計測,羊水過多や羊水過少の管理目的で実施される.

 羊水染色体検査は,安全性,検査結果判明までの時期が比較的短時間,検査結果が判明してからの行動決定までの時間的余裕などから妊娠16週が最も適切とされる.ここでは比較的実施件数の多い,妊娠16週での羊水穿刺について述べる.

[胎児の正常超音波像と形態異常]

1.頭頸部の超音波像―脳・顔面など

著者: 藤森敬也 ,   安田俊 ,   高橋秀憲

ページ範囲:P.567 - P.579

■胎児異常スクリーニング(表1)

 超音波検査による胎児異常スクリーニングは,通常,胎児計測を行いながら行われる.頭部は大横径(biparietal diameter : BPD)を計測するときに,大きさとともに,その形状,mid-line shiftの有無,側脳室三角部(atrium)が10mm以上といった脳室拡大を示唆する所見,小脳の大きさや形状,後頭蓋窩の拡大や嚢胞性病変などの有無を確認する.また,顔面は口唇裂がないことなどを確認する.

■胎児MRI(magnetic resonance imaging)

 胎児MRIとくに中枢神経系疾患における胎児MRIの有用性はほぼ確立している.画像が直感的に理解しやすく,また検者の技量に依存しないため,客観的な評価を得やすい.原則的に妊娠18週以降に行うことが望ましく,ガドリウムによる造影は行わない.ガドリニウムは胎盤を通過し尿中に排出され,胎児はそれを嚥下するという循環に陥り,腎性全身性線維症(nephrogenic systemic fibrosis)が理論的には起こりえる可能性がある1)

2.胸部の超音波像─心臓―効率的な胎児心スクリーニングをめざして

著者: 川滝元良

ページ範囲:P.580 - P.593

胎児診断の現状と課題

 左心低形成症候群(hypoplastic left heart syndrome : HLHS),完全大血管転位症(transposition of the great arteries : TGA),総肺静脈環流異常(total anomalous pulmonary venous drainage : TAPVD)などの重症心疾患の治療成績は近年急速に向上している.ショック状態や高度の低酸素状態を回避し良好な全身状態で外科治療を可能にする胎児診断の意義はますます高くなっている.当院での最新のデータによると,重症心疾患の40%以上(図1),新生児期手術症例の50%以上が胎児診断されている(図2).胎児診断はいまや重症心疾患の治療体系のなかで欠くことのできない重要な一翼を担っている.しかしながら,新生児開心術の1位,2位を占めるTGAとTAPVDは今の妊婦検診ではほとんどスクリーニングされていない.今後の課題である(図3).

3.胸部の超音波像─肺・胸郭

著者: 松田秀雄

ページ範囲:P.595 - P.597

 胸郭は正中にある縦隔によって左右に分割される.縦隔構造は超音波では不明瞭である.肺は全体的に中等度の輝度を示す均質なびまん性構造を示し,分葉は明らかにはできない.肺は成熟とともに輝度を増すが,一般的に肝臓のほうが低輝度である.肺は全妊娠期間を通して発育し続けることを念頭に置いて異常を取り扱う.

 肺・胸郭の超音波画像の正常像を図1,2に示す.

4.腹部の超音波像─肝臓・脾臓・消化管など

著者: 林聡 ,   左合治彦

ページ範囲:P.599 - P.603

 胎児の超音波検査を行ううえで最も基本的で重要なポイントは,正常胎児の解剖を熟知し,その超音波画像を描出できるか否かである.当センターでは妊婦に対する胎児超音波スクリーニング検査を20週と30週に実施しており,スクリーニング検査において描出されるべき標準画像を12画像と定めている.その標準12画像の描出が困難である場合は胎児形態異常を疑い,さらに胎児精査を行っている1).これらの標準12画像を用いることにより,ほとんどの胎児形態異常のスクリーニングが可能であり胎児診断も容易になる.この稿では胎児腹部について主な消化器系の胎児疾患を例示し,その超音波像について述べる.

5.泌尿生殖器の超音波像─腎臓・膀胱・外性器など

著者: 吉田幸洋

ページ範囲:P.604 - P.611

■腎・尿路系の正常像

 妊娠中,胎児の腎臓の機能はもっぱら尿を産生することにある.胎児の尿産生は妊娠10週には開始され,妊娠20週ごろまでには腎臓を含めた尿路系は構造上の発生段階を終えるが,機能的には妊娠36週ごろに完成に至る.

 この胎児腎・尿路系の発生過程は,妊娠中の超音波画像所見として捉えることができる.超音波経腟走査法によれば,胎児の腎臓は妊娠10週ごろから認識できるようになるといわれている.この時期に観察される胎児腎臓は高輝度で長楕円形の腫瘤像を呈しているが,妊娠14週ごろには,やや高輝度の皮膜を有するやや低エコーの腫瘤像の中央部分に,腎盂がエコー・フリー・スペース(EFS)として認められるようになる(図1).さらに妊娠後半期になると,腎実質部分に低エコーで嚢胞のような領域が認められるようになる.これは腎錐体部分に一致しており,この部分が周囲の腎実質に比較して低エコーに描出されることによる(図2).腎盂の大きさの正常範囲については明確な基準がないが,妊娠30週以降では,胎児の腰部横断像で腎盂の前後径が最大に描出される断面でのEFS部分の幅が7~10mmを正常範囲とするものが多い(図3).

6.四肢骨格の超音波像―四肢長管骨が短いときに何を疑うか

著者: 室月淳

ページ範囲:P.612 - P.617

 胎児骨系統疾患の診断の端緒のほとんどは,ルーチンの超音波計測によりみつかる大腿骨長(femur length : FL)の短縮である.高次周産期施設への紹介病名の多くが「胎児四肢短縮症」であることからもそれが伺われる.しかし大腿骨短縮の超音波所見は胎児骨系統疾患だけを意味するわけではなく,子宮内発育遅延(intrauterine growth retardation : IUGR)や染色体異常胎児のこともあり,さらにはときに正常胎児にすら認められることがある.

 仮に何らかの胎児骨系統疾患の可能性が高いときにはすでに提案された診断アルゴリズムにしたがって精査を進めていくことになる1, 2).今日ではさらに胎児CTも臨床応用さるようになった.もし何らかの胎児骨系統疾患が間違いないのであれば,骨系統疾患の出生後のX線学的診断学はほぼ確立しており,その知見の応用により胎児CTによる正確な診断が期待できる.しかしそれが単なるIUGRであれば,結果的に無用なCTの被曝によって生じるリスクを将来にわたって負うことにもなりかねない.

 本稿では,胎児骨系統疾患であるか,IUGR,染色体異常かの判断に迷う境界領域である-4SD前後の大腿骨短縮症例の鑑別を中心に解説を行う.FL短縮が境界領域にある症例に対して,超音波診によって骨系統疾患であるかないかをきちんと評価できるかは非常に重要な課題と考えられる.

7.全身の異常所見─胎児水腫・無心体

著者: 松田秀雄

ページ範囲:P.619 - P.621

胎児水腫

 胎児水腫は免疫性胎児水腫と非免疫性胎児水腫に分類される.免疫性胎児水腫は主に血液型不適合によるもので,非免疫性胎児水腫は主にTORCH症候群などの先天感染によるものである.

8.染色体異常のマーカーとその意義

著者: 松岡隆 ,   長谷川潤一 ,   市塚清健 ,   関沢明彦 ,   岡井崇

ページ範囲:P.622 - P.627

 染色体異常の胎児は形態異常を示すことが多く超音波検査で所見があればその存在を疑うことができる.しかしながら,所見だけでは絶対的な診断には至らず,確定診断には胎児由来の細胞を用いて核型を検査する必要がある.超音波マーカーには妊娠初期の所見(NTやnasal boneなど)と妊娠中期の所見があるが,ここでは妊娠中期の所見について述べる.

 染色体異常を疑う妊娠中期の所見の主なものを表1に示す.

 所見が単一である場合に比べ複合して存在する場合は染色体異常のリスクが大幅に増加するため,所見を1つ認めた場合は関連する所見の有無を確認する必要がある.

9.超音波スクリーニングの時期と項目

著者: 松岡隆 ,   長谷川潤一 ,   市塚清健 ,   関沢明彦 ,   岡井崇

ページ範囲:P.629 - P.634

スクリーニングの時期と回数について

 妊娠中期・後期において胎児超音波スクリーニングの時期および回数にコンセンサスはない.検査する回数が多くなればそれだけ検出率が向上するが,スクリーニング検査としては効率的ではない.以下に昭和大学産婦人科教室で行っている方法を示す.

10.3次元超音波の応用

著者: 秦利之

ページ範囲:P.636 - P.648

胎児皮下脂肪の評価

 従来より痩せた胎児(子宮内胎児発育遅延)あるいは肥満胎児(巨大児)の2次元超音波法による診断において,正常胎児との鑑別に苦慮する症例が多数認められた.これらを解決するために,従来の2次元超音波法を用いた胎児の軟部組織や筋肉量を評価する試みが行われてきた1).一方,3次元超音波法の進歩により,子宮内の胎児をまるで新生児を見るかのように立体的でリアルな像として描出することができるようになってきた2, 3)(図1).そこで,新生児の皮下組織量を定性的に評価できるNutrition Score 4)をヒントとして,われわれは3次元超音波法を用いた胎児軟部組織を定性的に評価するFetal Nutrition Scoreを考案した5)(図2).その結果,出生前1週間以内のFetal Nutrition Scoreは出生直後の新生児の栄養状態とよく相関していることが明らかとなった.3次元超音波法を用いたFetal Nutrition Scoreは子宮内胎児の栄養状態を評価する新しい方法であり,胎児発育異常(子宮内胎児発育遅延と巨大児)を予測するのに有用となる可能性があり,今後胎児発育評価の新しいパラメーターとしてさらに検討していく必要がある.

 また,3次元超音波法を用い上腕あるいは大腿の体積を計測し,胎児発育と栄養状態の評価に応用しようとする試みも最近報告されている6, 7)

[胎児の発育とwell-beingの評価]

1.胎児計測と児体重推定―Fetal biometry and fetal weight estimation

著者: 篠塚憲男

ページ範囲:P.649 - P.655

 子宮内の胎児の発育が正常であるか否かを見極めることは胎児の健康状態を知る最も基本的な手段といえる.超音波が産科臨床に用いられるようになって以来,数多くの人々が発育診断の研究に携わり,種々の推定児体重式が考按されてきた.本稿では日本超音波医学会としての推奨方式1~3)を基本に,胎児の計測,体重推定法3~5)とそれらの基準値および評価法について概説する.

2.胎児行動とbiophysical profile score

著者: 青木昭和

ページ範囲:P.656 - P.661

 現在行われている胎児well-being評価法の主なものには,非侵襲的なものとしてNST,CST,VASなどの胎児心拍数モニタリングや,胎児ドプラ血流計測,biophysical profile score(BPS),羊水量測定といった超音波診断法などがある.また侵襲的な方法としては,胎児・臍帯穿刺採血,頭皮電極法などがある.精度に関しては侵襲的手法のほうが優れているが,リスクを考えると非侵襲的で再現性,簡便性に優れた方法が現実的である.胎児ドプラ血流計測や胎児・臍帯穿刺採血は専門的な知識や高度なテクニックを要する場合もあるため,臨床の第一線で誰でも正確に行えるわけではない.これに対し,比較的容易に行うことができ診断精度の高い方法としてBPSが挙げられる.BPSはcombined fetal biophysical testingの1つとしてManningら1)により提唱された胎児well-being評価法であり,過期妊娠を含めたハイリスク妊娠における周産期有害事象の予測法として発表された.胎児アシドーシス,分娩中の胎児ジストレス,5分後Apgar指数および周産期死亡などの予測を目的に検討され,さらにそれをもとに分娩時期の決定も含めた管理方法として今日に至っている.

 ただし,最大30分という検査時間のため日常診察内で妊婦全員に行う胎児スクリーニングとしては困難である.よって,一般にはハイリスク妊娠,fetal growth restriction(FGR)を対象に,そのなかでwell-beingを評価する方法として用いられることが多い.ちなみに略語としては,米国ではBPSよりBPP(biophysical profile)を用いている場合が多い.本稿ではBPSの各観察項目と,それを用いた妊娠・分娩管理法について述べる.また,BPSに関連したほかの胎児評価法,特に超音波ドプラ法による胎児血流計測の最近の知見も紹介したい.

[胎児の血流計測と循環機能評価]

1.臍帯動脈の血流計測とその意義

著者: 村越毅

ページ範囲:P.662 - P.665

臍帯動脈血流異常(拡張期途絶・逆流)を認めたときの診断および評価のポイント(単胎)

・胎児発育不全(fetal growth restiriction : FGR)に臍帯動脈拡張期途絶(umbilical artery absent end-diastolic velocity : UA-AEDV)もしくは拡張期逆流(umbilical artery reverse end-diastolic velocity : UA-REDV)を認めたときは,胎盤機能不全などによる慢性的な胎児の低酸素やアシドーシスを疑う.

・FGRにUA-REDVを認めたものはUA-AEDVよりも胎児死亡の頻度は上昇する.

・FGRにUA-AREDVを認め,かつ,静脈管の心房収縮期の途絶もしくは逆流を認めた場合は,胎児死亡のリスクはさらに上昇する.

・FGRを認めない単独のUA-AREDVでは胎児形態異常などの精査が必要である.

・FGRを認めない単独のUA-AREDVは胎盤機能不全と関連しないこともあり,胎児well-beingの評価法としては推奨されない.

2.中大脳動脈の血流計測とその意義

著者: 中田雅彦

ページ範囲:P.667 - P.671

中大脳動脈(middle cerebral artery : MCA)の血流

 MCAは脳を還流する血流を支配する重要な血管で,内頸動脈から分枝し,シルビウス裂溝の部位を含む皮質・皮質下の組織,被殻や淡蒼球を支配している.胎児超音波検査における血流評価においてMCAはその解剖学的特徴から汎用されている.MCAの描出は,胎児発育の評価に用いる児頭大横径の計測断面のやや下方でウィルス動脈輪とシルビウス裂溝を含む水平断において可能である.血流波形の解析においてはresistance index(RI)やpulsatility index(PI)による血流抵抗の評価はほかの血管と同様可能であるが,Doppler beamの血流方向への入射角を0度とすることが容易なため血流速度の絶対値による評価が可能で,特に最高血流速度(peak systolic velocity : PSV)は臨床検査として有用である.

3.下大静脈,静脈管,臍帯静脈の血流計測とその意義

著者: 青木昭和

ページ範囲:P.673 - P.683

 胎児機能評価法は,胎児心拍数モニタリングや超音波パルスドプラ法による臍帯動脈・中大脳動脈血流計測が広く利用されている.しかし,胎児・胎盤循環においては,胎盤からの血液は臍帯静脈を介して胎児静脈系に入ること,臍帯では静脈のほうが動脈より圧迫を受けやすいこと,胎児心臓のポンプ機能低下は中心静脈圧に速やかに反映されることなどを考えると,静脈系を中心とした血流動態把握もきわめて重要である.一般的に超音波血流計測でのPI・RI上昇は測定部位より末梢に血管抵抗の高い場所があることを示す.よって,臍帯動脈PI・RIの上昇は胎盤における血管抵抗の上昇を意味し,胎盤機能不全の指標となる.一方,臍帯静脈をはじめとする各種静脈波形は,心臓への静脈還流を含む胎児全身の循環動態を強く反映しており胎児機能不全の指標となる.よって厳密にはこの2つの計測系は意味するものが異なる点を理解しなければならない.

 胎盤から臍帯を通って胎児右房へ至る過程では,静脈波形は主に以下の3つの要因に左右される.(1)胎児循環不全(心不全)などのように中心静脈圧上昇による心拍の逆行性伝播の影響,(2)胎盤機能不全などによる胎盤からの循環血液量減少と酸素化障害の影響,(3)臍帯圧迫,臍静脈瘤,静脈管欠損などの静脈ルート自体の異常による影響.ここでは静脈血流波形のなかでも,特に実践に即した臨床的視点から臍帯静脈,臍静脈,静脈管,下大静脈について述べる.

4.その他の循環機能評価法

著者: 佐藤昌司

ページ範囲:P.685 - P.689

 胎児循環の評価法としては現在,超音波ドプラ血流計測(血流波形,カラードプラ,パワードプラ)を用いた心・末梢血行動態の観察が主流である.なかでも,ドプラ血流計測法を用いて臍帯,脳あるいは大血管などの標的血管の血流波形を捉え,波形の定量的解釈から循環動態を評価する方法が臨床応用されている.一方,近年では3-D表示法や位相トラッキング法を応用した心腔容積計測,STICあるいはVVIなど原理的に新しい計測法も登場し,ヒト胎児における臨床的意義の報告がなされている.

 本稿ではこれらのヒト胎児循環評価法のうち,他稿で触れられていないいくつかの手法について概説する.

5.不整脈の診断

著者: 根木玲子

ページ範囲:P.691 - P.695

 胎児不整脈は,妊婦健診での胎児超音波検査で偶然発見されたり,胎児心拍数モニター施行時に発見されることが多い.胎児不整脈には,期外収縮,胎児頻脈,胎児徐脈に大別される.特に,胎児頻脈による循環不全に対しての胎内治療の効果は,古くから報告が知られている.

 不整脈の一般的な診断には心電図が不可欠である.しかし,胎児期には特殊な方法を用いないと,直接心電図を記録することができない.例えば,母体体表からの胎児心電図,胎児直接心電図,胎児心磁図などであるが,臨床的には一般に普及していない.このような状況下で,胎児超音波診断は有用である.さらに,Mモード法による心収縮率の評価やカラードプラ法による弁逆流,心拡大の程度や胎児水腫の有無など,胎児の心機能評価という点からも有用である.胎児不整脈の超音波診断には,心房と心室の収縮を,それぞれ心電図におけるP波とQRS波に相当させ,その関係から診断する.具体的な診断方法を,以下に記載する.

[胎盤異常の診断]

1.前置胎盤

著者: 市塚清健

ページ範囲:P.696 - P.699

 前置胎盤の診断は胎盤と組織学的内子宮口の位置関係に基づきなされる.したがってこれらの診断には経腟超音波断層法(経腟超音波検査)が最も有用であり,現在はほとんどの例で無症候の時期に診断をつけることが可能となっている.しかしながら,診断をつける際には,前述のごとく組織学的内子宮口の同定が必要であり,それには検査の時期が重要で,子宮狭部と子宮頸部の正常超音波像,妊娠経過に伴う変化への理解が要求される.ここでは正常な子宮狭部,子宮頸部について述べた後,2008年に改訂された前置胎盤の診断基準をもとに診断方法と診断時の注意事項について述べる.

2.癒着胎盤

著者: 桑田知之 ,   松原茂樹

ページ範囲:P.700 - P.703

 癒着胎盤は,産後の子宮全摘や母体死亡の原因となる代表的疾患の1つである1).組織学的には床脱落膜の欠損があり,絨毛組織が子宮筋層内に入り込み,胎盤の一部もしくは全部が子宮に強く癒着する.無理に胎盤剥離をしたり,胎盤部分剥離が起これば,大出血し,それに伴ってショック・DICなどが起こる.近年,帝王切開率の増加などが一因となり,癒着胎盤の頻度が増加してきた.前回帝王切開部に胎盤が付着している場合,特に前壁前置胎盤例では,癒着胎盤かどうか,診断に迷う症例が多くなってきている.一般的に診断は超音波断層法が用いられるが,近年MRIも診断に有効とする報告が散見される2~4).が,癒着胎盤の術前確定診断は現状では難しい面がある.画像診断上,癒着胎盤に特徴的ないくつかの所見が指摘されているが,false positiveも多いためである.しかし,手術中に癒着胎盤に遭遇したときの影響が大きいため,スクリーニングをして『疑ってかかる』姿勢は臨床上きわめて重要である.本稿では,超音波検査における癒着胎盤の特徴について解説する.

3.常位胎盤早期剥離

著者: 市塚清健

ページ範囲:P.705 - P.707

 常位胎盤早期剥離の超音波診断は胎盤後血腫の存在で診断可能であるが,出血からの時間経過とともにさまざまな超音波像を呈する.

4.その他の胎盤の異常

著者: 峰岸一宏

ページ範囲:P.708 - P.711

絨毛膜下血腫(subchorionic hematoma)

 妊娠初期における絨毛膜下血腫は,その大きさが小さければ流産するリスクはあまり高くないことは広く知られている1).しかしながら,中期以降での発症例ではしばしば大きくなり,早産のリスクが増加するとされる2).図1は,妊娠18週における経腟超音波像で,胎盤の胎児側から連続する羊膜が子宮壁から遊離して,胎盤付着部近傍に血液と凝血塊が貯留していることがわかる(矢印).血腫内容は中等度および低エコー領域が混在しており,中輝度が比較的新しいもので低輝度が一定の時間が経過したものと考えられ,血腫が発生してからの時間が推量できる.

[臍帯異常の診断]

卵膜付着・辺縁付着

著者: 長谷川潤一 ,   岡井崇

ページ範囲:P.712 - P.715

■臍帯卵膜付着

 卵膜付着の出現頻度は単胎において1~2%程度で,辺縁付着は3%程度である.双胎妊娠においては,それらはそれぞれ約10倍の頻度でしばしばみられる臍帯異常であり,分娩後の娩出された胎盤で初めて診断されることも多い.臍帯の付着部異常は,子宮内胎児発育遅延,早産,胎児心拍モニタリング異常,低Apgar score,新生児死亡,胎盤早期剥離などと関連することが古くより報告されている.ワルトン膠質は,その弾力で臍帯血管を外力から守っているが,卵膜付着においては,膠質に守られないで卵膜上を走行する卵膜血管が存在することで,妊娠・分娩異常との関連が高くなる.卵膜血管は脆弱で,慢性的に,あるいは子宮収縮や胎動に伴って圧迫されやすい.さらに,破水時は卵膜上の血管が断裂することもある.われわれの検討では,子宮の下1/3にある卵膜付着はNRFSや緊急帝王切開の頻度が高く,前置血管と同様に扱う必要があると考えている1)(表1).

[羊水量異常の診断]

羊水量異常の診断とその意義

著者: 岩砂智丈 ,   川鰭市郎

ページ範囲:P.717 - P.721

 子宮内の胎児はみんな羊水中に浮かんでいる.この羊水は胎児発育や発達に大きくかかわるだけにとどまらず,外力に対する緩衝作用や臍帯への圧迫を防御するなどさまざまな役割を担っているのである.したがって羊水量の異常は,胎児胎盤機能の異常を反映していることになり,羊水量を評価することは周産期管理を行ううえできわめて重要なこととなる.ここでは羊水量の異常を評価する意義について述べてみる.

[子宮と母体血管の超音波検査]

1.子宮動脈の血流計測とその意義

著者: 三宅秀彦 ,   中井章人

ページ範囲:P.722 - P.727

 子宮動脈における血流測定は,その測定部位より末梢における血管抵抗の変化をあらわす指標を用いて評価されている.よって,子宮胎盤循環における血管抵抗が上昇する妊娠高血圧症候群(pregnancy-induced hypertension : PIH)や子宮内胎児発育不全(intrauterine growth retardation : IUGR)に対する病態評価,発症予測が行われる.

2.帝王切開瘢痕部の評価

著者: 田中守 ,   吉村𣳾典

ページ範囲:P.728 - P.731

 世界的に種々の理由により帝王切開分娩率が上昇してきていることは明らかな事実である.帝王切開分娩により明らかな新生児予後の向上がもたらされるというエビデンスはないものの,理論的には新生児のためには帝王切開分娩が安全であると考えられている.また,手術法,麻酔法,輸血,輸液管理,深部静脈血栓症の予防などの向上によって,帝王切開術の母体への安全性は向上してきている.一方,帝王切開術によって必ず生じる切開創の縫合部瘢痕の影響に関しては,術式の検討を含め,十分な検討がなされてきているとはいえない.帝王切開術の既往によって,月経後の出血が長引いたり,月経困難症,慢性的な骨盤痛が発生したりすることが報告されている1).また,帝王切開術後の妊娠において,帝王切開瘢痕部子宮外妊娠,破裂や前置胎盤,癒着胎盤の確率が高まることが知られており,胎児や母体の生命にかかわる合併症を引き起こす可能性が高まることが大きな問題となってきている2).分娩後子宮摘出となった症例の約半数の症例で癒着胎盤が原因とされ,さらにその65%が帝王切開手術施行の既往が認められたとされており3),英国での報告の前置胎盤に伴う母体死亡の症例の約80%が帝王切開術の既往と切開瘢痕部癒着であったとされている.さらに帝王切開手術瘢痕部妊娠の治療は,特に子宮を温存する場合に難しく,大出血に伴う母体死亡の例も報告されている.現時点で帝王切開瘢痕部の予防に関する検討は,一層縫合と2層縫合についての検討が散見されるところであり,確実な予防法はない4).最近,経腟超音波断層法による帝王切開手術後瘢痕部の観察についての報告が増加しているところであり,今後の検討が望まれる5, 6)

3.子宮頸管長の計測とその意義

著者: 大槻克文 ,   大場智洋 ,   岡井崇

ページ範囲:P.733 - P.737

頸管長短縮と早産

 早産の原因の1つである頸管無力症は『妊娠中期以降に切迫流早産徴候を自覚しないにもかかわらず子宮口が開大し胎胞が形成されてくる状態』と定義され,先天性のものもあり,また頸管裂傷などの外傷性,そのほかに起因する例もあるといわれている.発症頻度は1%以下であるが,高率に早産につながること,無症候性であること,また頸管開大がみられてからでは早産に対する的確な治療の機を逸してしまうことから,その前に頸管の状態を評価することの意義は大きい.内診と比較して経腟超音波による所見は客観性に優れ,なおかつ早期診断につながることが証明されている1)

 一般に正常妊婦の頸管長は妊娠初期から中期で約40mm,32週以降では25~30mmに短縮する2).妊娠24週で頸管長が30mm以下,26mm以下に短縮したとき,35週未満の早産のオッズ比がそれぞれ3.79,6.19に上昇するという論文が1996年にIamsら3)によって出された.それ以来,頸管長短縮と早産との関連についての論文が多数報告されてきた4)(図1,表1).

4.深部静脈血栓の診断

著者: 椎名昌美

ページ範囲:P.738 - P.743

 深部静脈血栓症(deep vein thrombosis : DVT)と肺塞栓血栓症(pulmonary thromboembolism : PTE)は総じて静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism : VTE)とされ,近年,周術期におけるVTE管理が注目されている1).DVTとは深筋膜より深い静脈内に血栓が生じる疾患で,上下肢いずれにも生じるが,下肢に生じやすい.妊娠中は血液凝固能の亢進,線溶系の低下,血小板の活性化,女性ホルモンによる静脈平滑筋弛緩作用,増大した妊娠子宮による腸骨静脈・下大静脈の圧迫による還流障害,帝王切開などの理由によりVTEを生じやすくなっている2, 3).自覚症状の有無にかかわらず,安全な周産期管理を行うために妊娠中のDVTを診断する必要性が高まりつつある.DVTの診断には下肢超音波検査が広く用いられている3, 4).下肢超音波検査は,造影検査と異なり無侵襲的で,外来にて容易に行えることから急速に普及してきた.この稿では周産期管理に必要な下肢超音波検査のうち,緊急性のあるDVTの診断を主に述べる.

V 不妊診療における超音波検査

卵管疎通検査

著者: 宮崎豊彦

ページ範囲:P.752 - P.755

 超音波を用いた卵管疎通検査は生理食塩水による通水検査時に経腟超音波で観察する方法と,超音波造影剤を使用する方法とがあるが,造影剤を使用する方法が圧倒的に精度が高く,保険適用もあるため,本稿では超音波造影剤を用いて,経腟超音波断層法にて卵管の疎通性を評価する方法(hysterosalpingo-contrast sonography : HyCoSy)につき説明する.

子宮内膜機能評価

著者: 杉野法広 ,   高崎彰久 ,   田村博史

ページ範囲:P.757 - P.761

■超音波検査による子宮内膜の機能評価

 子宮内膜の発育・分化は性ホルモンによって調節されているので,子宮内膜の厚さやエコー画像のパターンは月経周期で変化する.不妊治療において,超音波検査による子宮内膜機能評価で最も重要な点は,子宮内膜の発育,すなわち子宮内膜の厚さの評価である.子宮内膜の発育は,着床と妊娠の成立には重要な因子であり,不妊治療において,子宮内膜の厚さが治療成績に影響することはよく知られている.また,子宮内膜のエコー像は,月経周期に伴い特徴的な変化を示す.子宮内膜の質的変化の評価として,特に,分泌期中期の子宮内膜のエコー像の評価は着床や妊娠予後の点から重要である.

卵巣予備能評価

著者: 本田育子

ページ範囲:P.762 - P.769

 妊娠する能力は加齢に伴って低下する.妊孕能をみるうえで年齢は最重要な因子であるが個体差が存在する.近年の初産年齢の上昇と,不妊治療,とりわけ生殖補助医療(assisted reproductive technology : ART)患者数の増加に伴い,卵巣予備能検査(ovarian reserve test : ORT)は汎用されるようになった.ORは卵巣の潜在能力を表す用語であり,また将来の生産力fecundityが消失するまでの猶予期間を予測することで治療の有無にかかわらずカウンセリングの指針となり,直接的には卵巣内の卵子の数と質を反映するものであろう.しかしながら,検査の大部分はARTでのgonadotropinに対する卵巣の反応性,採卵数やキャンセル周期の予測,卵巣刺激方法やgonadotropin投与量を決定するために用いられている1).現在,卵子の質を評価できるORTはなく,meta-analysisの結果からみてgonadotropinに対するpoor responseは予測できても妊娠の成否を予測するには至っていない2).またpoor responseの予測は,今後の不妊治療のカウンセリング資料となるが,ARTの妊娠継続率が依然として低い現状においてはORTの必要性が問われている1).ORTの有用性に限界はあるものの,若年者におけるORT異常は迅速な治療あるいは卵巣機能の温存をはかる必要があり,高年齢者においてはORTが良好であれば不妊治療からの除外を回避する指標になる.

 ORTは,basal FSHやAMH(Anti-Müllerian hormone)などの内分泌学的検査と超音波検査の2つに分けられる.超音波検査の代表的な指標として,胞状卵胞数(antral follicle count : AFC),卵巣体積,卵巣血流があり,近年meta-analysis 3)もみられるが,各報告者によって卵巣poor responseの基準,検査方法,診断のcut-off値,妊娠の定義が異なる.poor responseの予測では,卵巣体積よりもAFCが有用であり,非妊娠の予測では2つのパラメーターとも有用性は示されていない3, 4)

採卵への応用

著者: 本田育子

ページ範囲:P.770 - P.772

 産婦人科領域では超音波ガイド下の穿刺手技は,卵巣嚢腫(チョコレート嚢胞を含む)穿刺吸引,膿瘍穿刺吸引,異所性妊娠薬物治療,減胎手術などに行われるが,大きな割合を占めているのがART領域における採卵である.当初は全身麻酔と入院管理を要する腹腔鏡下採卵からスタートした採卵も,経腹的(経膀胱的)採卵1, 2),経腹超音波ガイド下経腟採卵を経て経腟プローブによる経腟採卵3)が行われるようになって久しい.採卵は超音波装置の開発改良と相俟って10mm程度の卵胞でも穿刺できるようになり,採卵の安全性,確実性は卵子回収率の上昇と外来ベースでのARTを可能にした.しかし子宮卵巣の手術後や子宮内膜症などで卵巣の位置が頭側に高く存在する症例では,いまだ経皮経腹採卵が行われ,また経子宮採卵を余儀なくされる症例もある.採卵室の超音波装置は比較的簡便なタイプが使われるが,穿刺針が入るポイントと卵巣との距離,卵巣周囲血管の状態などカラードプラ機能のある装置であらかじめ確認することが必要である.チョコレート嚢胞,卵巣嚢腫,卵管留症の存在は,月経周期初めのAFC検査時にチェックしておく.穿刺前には必ず排尿させ,便秘症の患者ではあらかじめ下剤を処方する.また採卵後の帰宅時には腹腔内出血や卵巣血腫の有無をチェックする.採卵後に強い疼痛の訴えがあったときは,すぐに超音波検査を行い,血圧や血算値の変動などに注意し,必要であれば入院管理とする.一般の手術前と同様の問診や術前検査で血液疾患や凝固因子異常のチェックを行う.

VI 新しい超音波技術の展望

胎児心臓超音波検査へのSTIC法の応用

著者: 神崎徹 ,   福家信二

ページ範囲:P.775 - P.781

 胎児心臓超音波検査は,解剖学的構造の複雑さ,早い心拍運動,胎位・羊水量の影響,心臓サイズが小さいこと,母体の体型などの影響,そして先天性心疾患出生前診断に対する関心の低さなどから,あまり関心が持たれていなかった分野といえる.

 しかし昨今,開発されたSTIC法による胎児心臓超音波検査法は,このような状況を打破する可能性があると指摘されている.本稿では,STIC法が胎児心臓奇形の診断に有効であった症例を紹介する.

胎盤血流の3次元表示と計測

著者: 秦利之 ,   野口純子

ページ範囲:P.782 - P.787

Placental vascular sonobiopsy(PVS)

 3次元パワードプラを用い,胎盤実質内の血管数(vascularization)と血流(blood flow)を測定し,胎児胎盤機能を評価する新しい試みで,われわれはPVSと呼んでいる1)

 3次元パワードプラにて胎盤のvolumeデータを取得する(図1).その際,パワードプラの設定を一定にすることが重要である.得られたvolumeデータをVOCAL(R)(Virtual Organ Computer-aided AnaLysis)imaging analysis(histogram analysis)を用いて解析する.まず,3断面表示された断面のなかから作業断面としてA断面を選び,母体面と胎児面の血管を含まない胎盤実質内で基準軸を直径とする球体を自動的に描出する(図2).次に,histogram analysisを用い,球体内のvascularization index(VI),flow index(FI),vascularization flow index(VFI)の各インデックスの値を計算する(図3).VIはvolume内の全voxel数に対するカラーvoxel数の割合(%)を,FIはvolume内のカラーvoxelの輝度の平均値を,そしてVFIはVIとFIを掛け合わせた値を表している.1つの胎盤内のサンプリング数は9~12個で,その平均値を各インデックスの値として用いる(図4).

VOCAL法を用いた胎盤体積・腫瘍体積の計測

著者: 亀井良政

ページ範囲:P.789 - P.791

 近年の超音波診断装置における技術革新は目覚しく,リアルタイムにvolume dataを取得し高速に3D画像を構築可能な4Dプローブが開発されている.この4Dプローブを使用することにより,従来では得られなかったリアルタイムでの直交3断面画像表示,rendering画像表示,プローブ面と平行の断面表示,直交3断面それぞれに厚みを持たせた画像の表示,胎児心臓の4D動画表示,平行面の多断面表示などの構築が可能となった.この3D超音波検査法の技術では2D画像よりも多くの情報を表示できるため,より正確な診断が可能となった.特に体積の診断には有用であるために,これまで妊娠初期の胎嚢や卵黄嚢,胎児,さらには胎盤の体積や胎盤内の血管分布などの測定がこの3D超音波検査法を用いて行われ,周産期予後との比較が検討されている.このように,3D超音波検査診断法は,今や産科における胎児胎盤診断に有用なツールとして注目されており,本稿では,これらの報告について概説し,今後の産婦人科領域における3D超音波検査法の臨床的有用性について考察したい.

FMDによる血管内皮機能の評価と妊娠高血圧症候群の予知

著者: 鈴木真

ページ範囲:P.793 - P.797

 妊娠中の全身血管抵抗の低下は血管内皮細胞から分泌される一酸化窒素(nitoric oxide : NO)が関与しているとされ,妊娠に伴う循環血液量増加による血管のずれ応力(sheer stress)が血管内皮細胞でのNO合成と分泌を促し,血管平滑筋を弛緩させるためと考えられている.一方,血管内皮機能障害は,虚血性心疾患,高血圧,心不全,糖尿病,喫煙,周産期関連領域では妊娠高血圧症候群などさまざまな疾患に関係していることが報告されており,その病態を評価する方法の開発が望まれていた.FMD(flow mediated dilatation)は疎血後の再還流による反応性血流増加(reactive hyperemia)とそれに伴うNOが関与した血管拡張を超音波診断装置により計測することにより血管内皮機能を低侵襲で,リアルタイムに定量化することが可能であり,注目されている.本稿では超音波断層法による妊婦上腕動脈FMD計測の実際と臨床応用について述べる.

子宮頸部組織弾性イメージング

著者: 小松篤史

ページ範囲:P.798 - P.801

 デジタル診断技術がめざましい進歩を遂げるなか,産婦人科において「内診」という診断技術はいまだに重要な位置を占めていることに疑いの余地はない.婦人科領域では子宮筋腫や卵巣嚢腫などの腫瘤の存在・圧痛や硬結の有無・可動性など,産科では子宮口の開大や展退,児頭下降の程度などで,それらとともに内診においてきわめて重要な情報が組織の硬さ(硬度)である.

 にもかかわらず「内診」という診断技術は検者の経験や主観に大きく左右され,客観性に乏しいことが問題であった.近年超音波を用いて組織の硬度を客観的に評価する方法(組織弾性イメージング : elastography)が開発され,特に乳腺や甲状腺領域では汎用されつつある.

超音波治療の産婦人科領域への応用

著者: 市塚清健 ,   青木弘子 ,   市原三義 ,   石川哲也 ,   折坂勝 ,   岡井崇

ページ範囲:P.802 - P.805

超音波治療

 超音波エネルギーの発熱作用は古くから知られており,そのエネルギーを利用した超音波温熱治療は,超音波の診断への応用に先駆け50年以上前からすでに臨床応用されている.超音波治療に関する論文数をPubMedで検索したところ,1950年から1969年の20年間ですでにおよそ1,000編報告されている.以後報告数は漸増しているが,2000年以降さらに増加し始め,ことに2005年以降は急増している.治療法もこの間変遷し,当初は温熱療法が主体であったが,最近では遺伝子導入などの分子的超音波療法の開発,強力集束超音波(high-intensity focused ultrasound : 以下,HIFU)などが急速に臨床応用されはじめた(図1).

 超音波エネルギーは大きく熱作用と非熱作用に分けられ,それぞれにハイパワーとローパワーがり,熱作用のハイパワーがHIFUであり,非熱作用のハイパワーに超音波メスや結石破砕がある.熱作用のローパワーに温熱,物理療法が,非熱作用のローパワーに遺伝子導入,薬物効果促進などの分子超音波治療や血栓溶解治療などがそれぞれある(図2).

特別寄稿

出産育児一時金問題への私見

著者: 岡井崇

ページ範囲:P.356 - P.357

 私がこれから述べる意見には,あるいは,相当強い反論が出るかも知れません.しかし,一度は産婦人科医師の皆様の目に触れる箇所に記述しておくほうが,後になっての心残りが少ないと考え,編集委員を務める本誌を利用させていただくことにしました.

 出産育児一時金を,分娩した医療機関等に直接支払う制度(以下“直接支払い”)を要請したのは私たち産婦人科医師の側からであり,今さら,引っ込みが付きにくいことは重々承知したうえで,それでも,産婦人科を担う後の世代の医師たちのために,私たちは現在進めれている形の制度化には反対するのが良いのではないかと私は思っています.

--------------------

編集後記

著者: 岡井崇

ページ範囲:P.814 - P.814

 本号の編集後記に「出産育児一時金問題」についての私見を載せたいと思って書き始めたところ,思いのほか長くなってしまいました.そこで編集部にお願いし,「特別寄稿」として356~357頁に掲載していただきました.この件に興味をお持ちの方は,是非そちらを読んでいただきたいと思います.そして,これから産婦人科を目指す若者のために,この問題の解決にお力をお借し下さることをお願いする次第であります.

基本情報

臨床婦人科産科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1294

印刷版ISSN 0386-9865

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