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今月の臨床 これを読めばすべてわかる―最新の産婦人科超音波診断 III 産科における超音波診断─妊娠初期
Nuchal Translucencyの計測と意義
著者: 増﨑英明1
所属機関: 1長崎大学医学部産婦人科
ページ範囲:P.537 - P.543
文献購入ページに移動 妊娠初期に行う超音波検査の目的は,まずは子宮内の妊娠であることを確認し正しい予定日を確定することである.実際には,子宮内にいる胎児の生存を確認することで異所性妊娠を否定し,頭殿長の計測値から妊娠週数を確定する1).欧米では妊娠初期に,母体年齢,血清マーカー試験およびNuchal Translucency(以下,NTと略)の厚みなどによる多変量解析から染色体異常(主にダウン症)のスクリーニングが行われているが,わが国にはこのような明確なスクリーニングシステムは現時点では存在しない.ここでは欧米で行われている妊娠初期の染色体異常のスクリーニングについて解説し,わが国の現状との対比から,妊娠初期超音波検査の内包する問題について考察する.
参考文献
1)増﨑英明 : 妊娠初期における超音波検査.周産期医学38 : 90-93,2008
2)Nicolaides KH, Sebire NJ, Snijders RJM : The 11-14 week scan, pp3-65, Parthenon Publishing, London, 1999
3)増﨑英明 : 超音波による出生前診断─Nuchal translucencyに関する考察.産と婦73 : 881-888,2006
4)増﨑英明 : NTの正しい計測法と患者への説明.臨婦産61 : 1003-1009,2007
5)Yoshida S, Miura K, Masuzaki H, et al : Does increased nuchal translucency indicate a fetal abnormality? A retrospective study to clarify the clinical significance of nuchal translucency in Japan. J Hum Genet 53 : 688-693, 2008
6)増﨑英明 : 産科の超音波診断をめぐる最近の話題.産婦治療98 : 803-808,2009
7)増﨑英明 : Nuchal translucency.臨床産科超音波診断改訂2版.pp120-124,メディカ出版,大阪,2009
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