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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科64巻5号

2010年05月発行

文献概要

原著

当院における結核合併妊娠症例に関する検討

著者: 水主川純1 中西美紗緒1 桝谷法生1 定月みゆき1 五味淵秀人1 箕浦茂樹1 松下竹次2 小林信之3

所属機関: 1国立国際医療センター戸山病院産婦人科 2国立国際医療センター戸山病院小児科 3国立国際医療センター戸山病院呼吸器科

ページ範囲:P.901 - P.905

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 2008年の新規登録結核患者数は24,760人であり,生殖年齢の女性の結核は稀ではない.2007年1月から2008年12月の間に,40床の結核病棟を有する当院で分娩した結核合併妊娠4例について検討した.

 母体年齢は29~33歳,肺結核2例,肺外結核2例であった.診断法は喀痰抗酸菌塗沫検査,胸部X線検査,頸部リンパ節生検であり,症状出現から診断までに長時間を要していた.全例,rifampicin,isoniazid,ethambutolによる内服治療を施行し,分娩前に喀痰抗酸菌培養検査陰性を2回以上確認できた2例は,産科一般病棟に入院し,分娩室で正常分娩した.確認できなかった2例は,結核または有料個室病棟に入院し,陰圧換気可能な手術室で帝王切開分娩した.出生児のうち3例は他院での感染隔離を要したが,先天性結核や新生児結核を認めなかった.

 結核の早期診断,そして,産科,呼吸器科,小児科が連携した診療が重要であると考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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