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今月の臨床 産婦人科画像診断のセカンドチョイス 婦人科画像診断─どこまで可能か
7.卵巣癌の再発診断
著者: 村上優1 菊池公孝1 東郷敦子1
所属機関: 1東海大学医学部付属大磯病院婦人科
ページ範囲:P.989 - P.993
文献購入ページに移動卵巣癌は死亡率70%と婦人科悪性腫瘍のなかで最も予後の悪い疾患であり,その原因は早期発見の有効なスクリーニングがないことである.卵巣癌は自覚症状に乏しく70%は臨床進行期III/IV期の進行癌で発見される.ほとんどがI/II期の早期癌で発見されれば再発死亡率は30%に改善される.しかし早期発見を目的とした「経腟超音波検査と腫瘍マーカーCA 125測定」による大規模試験は有効性が認められていない1).その試験は1993年から約34,000人を対象に毎年検査を行ったが,検出した卵巣癌の72%はIII/IV期の進行癌であった.むしろ偽陽性例のため不必要な手術が多くなったと報告し,早期卵巣癌を発見できる有効な検診方法は現在のところない.
化学療法の進歩により卵巣癌の初回治療で80%は一時軽快し退院できる時代となった.しかしその70%は2~3年以内に再発をきたす.しかも瀰漫性腹膜播種や多発性リンパ節転移といった転移形式をとるため再発初期に画像診断で検出することは困難である.腫瘍マーカーCA 125値の再上昇にもかかわらず従来の画像診断で検出できず患者の精神的ストレスの原因にもなることもある.このようなときPET検査が「画像診断のセカンドチョイス」となる.
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